2003 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素を用いない水中での高環境調和型触媒的カルボニル化システムの開発
Project/Area Number |
15750133
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
森本 積 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (10324972)
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Keywords | 環境調和型プロセス / 水 / カルボニル化 / ホルムアルデヒド / 触媒反応 |
Research Abstract |
有機合成化学の分野において,遷移金属錯体触媒による有機化合物への一酸化炭素の取り込み,いわゆるカルボニル化反応は,医薬・農薬やその中間体から有機材料まで様々な機能性有機化合物を合成できる,有効な手法として広く研究されている.これまでに,多種多様な反応型式のカルボニル化反応が報告され,様々なカルボニル化合物を直接的に合成できることが例証されてきた。その多様性,有用性に反して,グリーンケミストリーの観点から,(1)毒性の極めて高い一酸化炭素の使用が必須である,(2)そのほとんどが環境負荷の大きい有機溶媒中で行われる,(3)錯体触媒と生成物の分離・再利用が困難である,といった問題点を有する. 本研究では,これら問題点を考慮した環境調和性の高いカルボニル化システムの開発を目指している.具体的には,(1)一酸化炭素を用いずアルデヒドをその代替試薬として用い,(2)環境付加の低いクリーンな水を反応溶媒とし,(3)分離・再利用の容易な水溶性遷移金属錯体を触媒として用いる,"人に優しく,環境に優しいカルボニル化プロセス"を構築する. 本年度は,まず上記(1)および(2)に重点を置き,ホルムアルデヒドをカルボニル源とした水中カルボニル化反応の開発を目指した.その結果,分子内にアセチレン,オレフィン部位を有するエンイン類とホルムアルデヒドとを水中で反応させることにより,カルボニル化生成物が得られることを見い出した.この反応は,一酸化炭素を用いた場合と遜色なく進行し,一酸化炭素を利用することなく,しかも水中反応からカルボニル化生成物を与える.したがって,上記目標(1)および(2)を達成することができた.
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