2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNAの自己組織化によるナノケージの構築と分子カプセルとしての応用
Project/Area Number |
15750147
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松浦 和則 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60283389)
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Keywords | DNA / 自己組織化 / ナノケージ / 分子カプセル / 除放性 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
3'-末端に自己相補性の一本鎖を有する三叉路DNAを形成するように設計された三本のオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)を等モルで全ODN濃度が1〜20μMとなるように、0.5M NaCl水溶液中に混合し、一旦70℃まで昇温後、10℃まで自然冷却することにより、DNAケージを構築した。このDNAケージを蛍光染色し、共焦点レーザー顕微鏡により観察したところ、このDNAナノケージは多層構造を形成しており、濃度や塩強度、冷却速度に依存して数十ナノから数マイクロメートルの大きさにまで変化することが明らかとなった。さらに興味深いことに、このDNAナノケージにカチオン性界面活性剤を添加すると、中空構造に変化することも明らかとなった。 このDNAケージのカプセル材料としての特性を調べるために、各種蛍光色素の取り込み実験を行った。環境応答性色素のANS存在下、DNAケージを構築すると、ANSがケージ内部に取り込まれたような顕微鏡像が得られた。また、その蛍光スペクトルから、ケージ内が若干疎水的な環境であることが示唆された。色素の電荷にかかわらず、DNAケージはある程度疎水的な色素を内部に効率よく取り込むことができた。色素内包DNAケージは、純水中に置かれたとき、少なくとも二週間は色素を安定に内包したままであることがわかった。この色素内包DNAケージに熱をかけると、DNA二重鎖の解離に伴った色素の除放が観察された。また、酵素DNase Iによる加水分解やpH変化によっても色素の除放ができることがわかった。 以上のように、低分子化合物を効率良く取り込み、ある刺激を与えることにより除放する新規ソフトマテリアルが構築できた。今後、ドラッグデリバリーシステムのキャリヤーとしての応用が期待できる。
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Research Products
(5 results)