2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15750148
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
赤井 昭二 神奈川大学, 工学部, 助手 (00322537)
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Keywords | 分枝糖 / ハイブリッド抗生物質 / デオキシ化法 / 機能解明 |
Research Abstract |
生命現象の根幹にかかわる糖鎖の機能解明に世界中の多くの研究者が目を向け精力的に研究しているが、あまりにも複雑で苦戦を強いられている。研究代表者は、より単純な糖化合物モデルとしてく多くの抗生物質中に含まれる分枝糖が単糖や二糖といった単純なものでありながら、その構造変化が明確に生物活性に反映されることに着目し、構成糖の果たす機能を、より単純な系で解明することを目指し研究を行った。特に本研究課題では、その一つの試みとして、抗生物質中に見出される分枝糖のうち特徴的な官能基を有するものを系統的に効率良く合成し、ハイブリッド抗生物質とした後、抗菌活性を指標として活性の変化を追跡し、糖(鎖)の真の機能と、分枝糖における官能基の役割、立体配置、糖のD, Lの認識等について明らかにすべく研究を行った。 15年度は、先ず分枝根元に特にアミノ基,ニトロ基を有する分枝糖および、それら誘導体の系統的合成法を確立した。分枝鎖の構築に関しては、研究代表者らが開発した手法および所属研究室で開発したデオキシ化法を用いて行った。その結果、次に挙げる3つの分枝糖の効率的な合成に成功し、量産化に見通しを立てた。 (1)Vancomycin含有糖L-Vancosamineを全18工程、収率15%で合成に成功した。 (2)Rubradin構成糖D-Rubranitroseを全18工程、収率5.8%で合成に成功した。 (3)Kijanimycin構成糖D-Tetronitroseを全19工程、収率3.9%で合成に成功した。 上述の合成法は、安価なD-Glucoseから分枝鎖を立体選択的にかつオートクレーブを用いずに構築できる点、また共通の中間体を経由し3つの分枝糖へそれぞれ効率的に誘導できる点で従来法よりも優れており、今後行う誘導体合成にも有効である。 (2)については、その結果を国際欧文速報誌に発表しており、残る(1)(3)については、投稿すべく準備している。 現在、確立した合成法により分枝糖の量産に着手するとともに、それら誘導体(鏡像体を含む)の合成、ハイブリッド抗生物質の合成に取り組んでいる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ken-ichi Sato, 他2名: "Synthesis of D-rubranitrose by using a novel method for constructing functionalized branched-chain structures"Tetrahedron Letters. 45(7). 1523-1525 (2004)
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[Publications] Ken-ichi Sato, 他4名: "Practical synthesis of [1-^<13>C] - and [6-<13>C]-D-galactose"Tetrahedron Letters. 44(26). 4903-4907 (2003)
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[Publications] Ken-ichi Sato, 他5名: "Chemoenzymatic synthesis of [3,9-^<13>C]-labeled NeuAc and KDN"Tetrahedron Letters. 44(17). 3513-3516 (2003)