2003 Fiscal Year Annual Research Report
金ナノ粒子を固定化したインプリント高分子型センサー素子の開発
Project/Area Number |
15750149
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
松井 淳 甲南大学, 理工学部, 講師 (10264954)
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Keywords | モレキュラーインプリンティング / 高分子ゲル / アドレナリン / 金ナノ粒子 / 表面プラズモン / センサー |
Research Abstract |
金ナノ粒子は、量子サイズ効果により可視領域に特徴的な吸収を示し、そのコロイド溶液の色は、濃度(微粒子間距離)に応じて赤色から青色に変化することが知られている。本研究は、この金ナノ粒子の特性を活かして簡便かつ高感度なセンサー材料を構築することを目指しており、本年度は、金ナノ粒子を固定化したインプリント高分子材料の合成、および生体分子の新規検出システムの構築を目的として研究を行った。 1.金ナノ粒子の調製 金ナノ粒子の間隔に応じて効果的に変色するよう、ナノ粒子のサイズについて検討を行い、粒径約5.3nmのものを調製した。また、その表面を11-メルカプトウンデカン酸で保護し、ジメチルスルホキシドに可溶な金ナノ粒子を得た。 2.センサー高分子の合成と評価 金ナノ粒子、アクリル酸、N-イソプロピルアクリルアミド、ビスアクリルアミド、ジメチルスルホキシド、アドレナリン(検出対象分子)、AIBN(重合開始剤)を混合し、60℃で加熱することにより高分子ゲルを得た。高分子ゲルは、検出対象分子に対して選択的な結合性を示し、また、結合に応じて膨潤することがわかった。そこで、高分子ゲルの可視吸収スペクトルを測定したところ、標的分子の硬度に応答して、金ナノ粒子の表面プラズモン吸収に由来する吸収波長が短波長側に移動することが明らかとなった。 以上のように、目視および分光光度計による簡便な生体分子の新規検出法の開発に成功した。金ナノ粒子はこれまでにも生体分子検出に応用されていたが、そのほとんどが金コロイド溶液の状態で用いられるものであった。本研究の成果によって、従来手法の欠点、すなわち1)分析対象分子に対して金ナノ粒子が凝集するシステムであるので低分子量化合物の検出には不向きである、2)金ナノ粒子の回収・再利用が容易ではない、という2点が解決されており、本手法は様々な分析の応用が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Jun Matsui, Kensuke Akamatsu, Shingo Nishiguchi, Daisuke Miyoshi, Hidemi Nawafune, Katsuyuki Tamaki, Naoki Sugimoto: "Composite of Au Nanoparticles and Molecularly Imprinted Polymer as a Sensing Material"Analytical Chemistry. (in press). (2004)
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[Publications] Jim Matsui, Norihito Minamimura, Kenji Nishimoto, Katsuyuki Tamaki, Naoki Sugimoto: "Synthetic Cinchonidine Receptors Obtained by Cross-linking Linear Poly(methacrylic Acid) Derivatives as an Alternative Molecular Imprinting Technique"Journal of Chromatography, B. (in press). (2004)