2004 Fiscal Year Annual Research Report
青および赤色発光材料としてのユーロピウムイオン(II)および(III)含有ガラスの設計
Project/Area Number |
15750160
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
和田 憲幸 鈴鹿工業高等専門学校, 材料工学科, 助手 (30342504)
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Keywords | ユーロピウムイオン / 酸化物ガラス / X線吸収スペクトル / 局所構造 / 分極 / 塩基度 / Ge^<2+> |
Research Abstract |
ユーロピウムイオン(III)(Eu^<3+>)含有ホウ酸塩、ケイ酸塩およびリン酸塩ガラスを溶融急冷法で作製した。ガラス中のEu^<3+>の蛍光は磁気双極子遷移の^5D_0→^7F_1遷移に比べて電気双極子遷移の^5D_0→^7F_2遷移による蛍光の強度が強く、発色の良い赤色蛍光となった。このように電気双極子遷移が強くなる原因を調査するために、ガラス中のEuL_<III>吸収端のX線吸収スペクトルを測定することによってEu^<3+>の局所構造と分極を調査した。EXAFSスペクトルを解析した結果、Eu^<3+>の最近接の酸素配位数は6であり、Eu^<3+>の最近接酸素より少し離れた酸素も配位してEuの酸素配位数は6以上になることが分かった。ホウ酸塩およびケイ酸塩ガラスでは、ガラス修飾酸化物の増加およびその能力の増加によって最近接の結合距離は減少した。一方、リン酸塩ガラスでは、Eu-O結合距離は一定であった。また、Eu^<3+>の電気双極子モーメントを最近接のEu-O結合距離とDebye-Waller因子から評価した。その結果、Eu^<3+>が均一に溶解できるガラスでは、Eu^<3+>はガラスの塩基度が低下するに従って分極することが分かった。このため、70B_2O_-30CaO-3.5Eu_2O_3ガラスは、高いホストガラスのフォノンエネルギーと高いEu^<3+>の分極率の相乗効果によって強い赤色蛍光を示すことを明らかにした。ユーロピウムイオン(II)(Eu^<3+>)の青色発光を利用した残光体を作製するため、そのホストガラスとなるGeO_2ガラスをゾル-ゲル法で作製し、残光特性を調査した。その結果、ゾルーゲルGeO_2ガラスは、ホストガラスのGe^<2+>中心欠陥によって青色発光を示し、その残光も確認された。また、溶融急冷法によってもGe^<2+>中心欠陥を増やすガラス組成を調査した。その結果、50GeO_2-50B_2O_3ガラスが最も多いGe^<2+>中心を含有していることが分かった。
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