2004 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的方法を利用した新規遷移金属酸窒化物の合成とその光触媒活性の評価
Project/Area Number |
15750172
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
勝又 哲裕 学習院大学, 理学部, 助手 (90333020)
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Keywords | 酸窒化物 / 光触媒 / 電気化学 / 窒化 |
Research Abstract |
太陽光と水から直接水素を製造する光触媒を用いた水の光分解は、クリーンエネルギーシステムを構築する上で有効な水素製造方法として注目を集めており活発な研究が行われている。その中で遷移金属酸化物に窒化物イオンをドープした遷移金属酸窒化物は、可視光照射下で光触媒活性を有する新しい材料として期待されている。一般に、遷移金属酸窒化物は出発原料である酸化物をアンモニア気流中で熱処理する方法で合成されているが、この方法では熱処理中に還元と窒化が同時に行われるため、酸化物イオン、窒化物イオンの組成比を独立に変化させることが難しい。そこで本研究では、Li_3N-LiCL-KCl混合溶融塩を用い、出発原料である酸化物試料を電気化学的に窒化することで、酸化物、窒化物イオン組成が制御された遷移金属酸窒化物合成を試み、その光触媒活性の評価を試みた。 電気化学反応セルは自作し、Li_3N-LiCl-KCl混合塩は200℃で72時間真空乾燥した。その後混合塩を450℃で融解させ、さらに溶融塩中に高純度Arガスを12時間吹き込むことで、溶融塩中に含まれる水分を除去した。出発原料となる酸化物としてTiO_<1.98>焼結体を合成し、これを短冊状に成型し、陰極に取り付け、電気化学反応セルに導入した。この試料を450℃で、+0.8V(Li^+/Li)の定電圧を印可し、180分、窒化を行った。 電解後、試料は粉末状になり溶融塩中に沈んでいた。冷却後、混合塩から試料を取り出し、粉末X線回折を行ったところ、この試料は、出発原料であるTiO_<1.98>とは異なる結晶構造である、岩塩型構造を有していた。この事は、これまで合成の報告がない新しい岩塩型酸窒化物が合成されたことが示唆している。今後、この試料の組成、結晶構造などについてさらに研究を進めていこうと考えている。
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