2004 Fiscal Year Annual Research Report
高分子電解質ゲルの粘弾性に及ぼす電荷の効果と電荷間相互作用発現機構の解明
Project/Area Number |
15750176
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
三俣 哲 山形大学, 工学部, 助手 (80322006)
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Keywords | 高分子電解質 / ゲル / レオロジー / 弾性率 / 膨潤度 / 電荷間相互作用 |
Research Abstract |
高分子電解質ゲルはネットワークにスルホン酸基などの極性基を持ち、架橋点近傍には電荷密度の高いクーロンポテンシャルの井戸が形成されていると考えられている。ゲルを変形させると、電荷密度の高い領域の相対的位置が変位し、大きな静電相互作用が生じると予想される。電解質ゲルの弾性率に関するこれまでの研究では、高膨潤領域における弾性率の増加は網目のストランドの伸張によるものと解釈されてきた。強電解質ゲルである2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(PNaAMPS)ゲルの貯蔵弾性率に及ぼす塩の効果を検討し、弾性率とカウンターイオンおよび添加塩によるデバイの遮蔽長との相関について実験的に研究した。 モノマーに2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(NaAMPS)、架橋剤にN,N'-メチレンビスアクリルアミド、開始剤にペルオキソ二硫酸カリウムを用いて50℃、12時間でラジカル重合を行い、ゲルを得た。架橋剤濃度は1〜3mol%である。平衡膨潤に達するまでゲルを純水に浸し、未反応物質を除去した後、10^<-3>M〜10^<-1>MのNaCl水溶液に1週間浸漬させた。動的粘弾性測定装置を用いて、初期ひずみ5〜15%、周波数領域0.1Hz〜100Hz、25℃における複素弾性率を測定した。 ゲルの貯蔵弾性率はオフセットひずみが大きくなるにつれて増加した。振幅ひずみ〜0.5より小さい領域では、線形粘弾性を示した。一方、弾性率は周波数に殆ど依存せず、典型的な高分子ゲルの周波数応答性を示した。無塩系では、弾性率はE'〜Q^<-1.1>なる膨潤度依存性を示し、ガウス理論よりも膨潤度依存性が大きい。全てのゲルにおいて、塩濃度を高くすると膨潤度は低くなり、弾性率は減少した。高分子電解質ゲル特有の現象である。カウンターイオンおよび塩による遮蔽長を見積もり、遮蔽長とゲルの弾性率との相関を明らかにした。
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Research Products
(3 results)