2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760011
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
水上 成美 日本大学, 工学部, 助手 (00339269)
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Keywords | スピンダイナミクス / スピンポンピング / 多層膜 / 強磁性共鳴 / マイクロ波 / 異常ホール効果 / プレーナ・ホール効果 / スピンバッテリー |
Research Abstract |
スピンポンピングによって発生する起電圧(スピンバッテリー効果)の検証 1.マイクロ波照射下における電気伝導特性評価装置の製作 市販のGaAs-FET発振器及びマイクロ波パワーアンプ等のコンポーネントを用いてマイクロ波ブリッジを製作した。外部磁場印加には最大5kOeまで印加可能な電磁石を用いた.Q値の劣化を防ぎつつ電気伝導測定が可能な特殊なマイクロ波空洞を製作した.測定の際には,ピーク強度が1W程度のパルス変調をかけたマイクロ波を試料に照射し,それによって生ずる電圧変化をロックインアンプで検出した. 2.スピンの才差運動の誘起する起電圧の測定 上述の装置を用いて,強磁性体/非磁性体多層膜におけるスピン才差運動の誘起する起電圧の測定を行った.その結果,通常の強磁性共鳴吸収に対応して,スピン才差運動の誘起する起電圧が観測された.さらに,膜構成や膜厚依存性およびサイズ依存性などの系統的な実験を行ったところ,観測されたスピン才差運動の誘起する起電圧は,強磁性全属に特有の異常ホール効果及びプレーナ・ホール効果に起因するものであり,スピンポンピングによる起電圧(スピンバッテリー効果)とは全く別の現象であることが分かった.これらの結果については現在論文発表を準備中である. スピンバッテリー効果の理論の検証やホール効果に起因する電圧発生のメカニズムの詳細はいまだよく分かっておらず,今後より詳細な,微細加工などを用いた実験的な検討が必要であると考えられる.
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Research Products
(3 results)