Research Abstract |
本研究では,1.外部磁場が血流中の赤血球の配向分布,レオロジー特性および凝集構造におよぼす影響を数理的に明らかにすること,2.血流中の赤血球の配向分布,レオロジー特性および凝集構造にたいして解析を行うための標準となる数理的モデルを構築すること,を目的としている.これまで,平均場近似を用いた,外部磁場をうける単純せん断流中の強磁性棒状粒子の力学的特性を解析する計算力学的アルゴリズムを赤血球の系に応用し,粒子の配向分布,粘度,凝集構造形成過程を調べてきた.しかし,この解析では,(1)赤血球は剛体ではなく変形する粒子であるということ,(2)血液の流れは非ニュートン流体的であるということ,を考慮できていないという問題があった.本年度では,(1)および,(2)における問題が,赤血球の配向分布,粘度,凝集構造形成過程に及ぼす影響を明らかにすることを目標としていた.この目標達成のためには,まず,外部磁場のもつ方向の影響を詳しく理解しておく必要がある.そこで,せん断流の回転角速度ベクトルと外部磁場の方向が同一である場合について,平均場近似を用いた理論解析を行い,赤血球よりも取り扱いが容易な強磁性棒状粒子からなる非希釈コロイド分散系にたいして,単純せん断流中における配向分布を調べた.これにより,血流中の赤血球の配向分布,レオロジー特性および凝集構造を理解するうえでの,外部磁場のもつ方向の影響についての知見を得ることができた.
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