2005 Fiscal Year Annual Research Report
非線形偏微分方程式の大域的性質を保存する数値解法導出のための離散変分法の研究
Project/Area Number |
15760044
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
降籏 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助教授 (80242014)
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Keywords | 非線型偏微分方程式 / 離散変分法 / 保存則 / 差分法 / モデリング / regularized long wave方程式 / Swift-Hohehberg方程式 / extended Fisher-Kolmogorov方程式 |
Research Abstract |
本年度の目的は,第二年度までの研究を継続し,離散変分法の適用可能問題をより発見し,さらに離散変分法の考え方を逆に利用したモデリング/アルゴリズム開発という概念の有効性を示すことに加え,得られる数値スキームによる実際に数値計算を行ない,具体的な貢献をすることであった.この目的のもとの研究によりいくつかの新しい知見を得た.まず,変分概念により導出が可能なモデリングないしは結果としての方程式探索した結果,これまでに発見された多数の方程式に加えて正規化長波長近似波動方程式(regularized long wave方程式),Swift-Hohenberg方程式,extended Fisher-Kolmogorov方程式などを発見した.また,モデリングに関しては,蛇行流現象に対して変分概念から得た新たなモデルをもとに,変分概念からのモデリングという手法が有効であることを具体的な数値計算例と比較することで示した.さらに,上記のregularized long wave方程式,Swift-Hohenberg方程式,extended Fisher-Kolmogorov方程式に関して離散変分法を適用して具体的に数値計算を行い,いずれも非常に良好な結果を得た.この結果は,本研究の最終目的である数値計算手法としての貢献を強く示すものである.また,Lyapunovポテンシャルと最適問題のポテンシャル緩和の類似性を利用し,整数制約問題のアルゴリズムを構築し,離散変分法で解けることを示した.これらは理論的には非常に素直なアルゴリズムであるが,通常の解法ではその不安定性から実用的ではない.安定な計算が可能な離散変分法によって初めて可能となったものであり,これもまた離散変分法の能力を示す結果である.以上の結果より,本年度は当初の計画に見込まれた多くの結果が得られたと評価できると考えるものである.
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