2003 Fiscal Year Annual Research Report
高性能溶射皮膜を応用したフレッティング疲労特性の改善に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15760055
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Research Institution | Toyama National College of Technology |
Principal Investigator |
岡根 正樹 富山工業高等専門学校, 環境材料工学科, 助教授 (90262500)
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Keywords | フレッティング / フレッティング疲労 / 表面改質 / 接線力 / 相対すべり / 新試験装置 / 試作 / 溶射 |
Research Abstract |
フレッティング疲労は,各種の機械構造物の接触部で発生するわずかな表面損傷を起点とする疲労破壊過程であり,機器の疲労寿命を著しく低下させることから,設計上あるいは安全性確保の観点より重要な検討項目となっている.当該研究者は,これまでに高速フレーム溶射(HVOF)を用いたWC-Co溶射が,フレッティング疲労特性の向上に,極めて有効であることを明らかにした.しかしながら,例えば,溶射層内あるいは溶射層と基材との界面におけるフレッティング疲労き裂進展のメカニズムなど,力学的、材料学的ともに未だ不明な点が多い.そこで,本研究では,これら不明な点を明らかにすることを最終目標とし,今年度はその第一段階として,新しい機構によるフレッティング疲労試験装置((1))と,溶射材の疲労き裂進展試験が行える試験装置((2)),二つの試験装置の試作を試みた.試作した試験装置の概略は以下の通りである. (1)新たなフレッティング疲労試験装置((1))では,接線力や接触面圧など,フレッティング疲労特性に大きな影響を与える力学的因子を個別に制御・計測することができる.これは従来のフレッティング疲労試験方法では実現不可能であった新たな試験方法であり,これにより各種の力学的因子を独立因子として制御計測できる構造となっている. (2)試作した疲労き裂進展試験装置((2))は,溶射層内および溶射層と基材の界面を進展する(フレッティング)疲労き裂の進展状況を,試験中リアルタイムで観察・計測できることを念頭に置き,可能な限り薄型の試験片を用いてフレッティング疲労状態のまま,き裂の観察が行える構造になっている. (3)これらと平行して,(1)および(2)の試験装置を組み込むベースとなる油圧サーボ疲労試験機の性能確認試験を兼ねた疲労試験を行ったところ,いずれの試験装置も,研究目的達成のために十分な性能を有していることが明らかとなった.
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