2004 Fiscal Year Annual Research Report
高性能溶射皮膜を応用したフレッティング疲労特性の改善に関する基礎的研究
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15760055
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Research Institution | Toyama National College of Technology |
Principal Investigator |
岡根 正樹 富山工業高等専門学校, 環境材料工学科, 助教授 (90262500)
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Keywords | フレッティング / フレッティング疲労 / HVOF溶射 / WC-Co / Ni-Cr-Mo鋼 / フレッティングき裂 / き裂発生 / 基材硬度 |
Research Abstract |
本年度は,当該研究者がこれまでに得ているWC-Co溶射Ni-Cr-Mo鋼のフレッティング疲労特性について,その検証試験等を行い主に下記のような知見を得た. (1)WC-Co溶射鋼におけるフレッティングき裂の発生について一般に,溶射等のコーティングを行っていない通常の金属材料の場合,フレッティングき裂は接触端部において発生・進展する.溶射材では接触表面近傍に溶射層と基材との界面が存在するため,ここがき裂発生の起点となることが危惧される.そこで,溶射材のフレッティング損傷部の詳細な観察を行い,き裂の発生のようすなどを検討した.その結果,WC-Co溶射材においてもフレッティング疲労き裂は溶射層表面の接触領域端部付近において発生していることが明らかとなり,溶射層と基材の界面は,き裂の発生に対しては大きな影響を及ぼさないことがわかった.また,き裂の発生時期は,未溶射材のそれに対して,溶射材では数十%程度遅延していることが明らかとなり,このことが溶射材におけるフレッティング疲労寿命向上の要因であることがわかった. (2)WC-Co溶射鋼のフレッティング疲労特性における基材硬さの影響について未溶射金属材料の場合,一般に供試材の硬度が高いほど疲労強度が高くなるが,フレッティング疲労においては,通常疲労の場合ほど供試材の硬度の影響は大きくない.しかしながら,WC-Co溶射材においても同様の結論が得られるのか否かは明らかとなっておらず,これを明らかにすることは機器の設計上重要な検討項目である.そこで従来の硬度よりも硬い基材を用いた溶射材のフレッティング疲労試験を行い,現在までに溶射材の結果を検討する際に基礎データとなる未処理材のフレッティング疲労特性を明らかにしつつある.また,溶射材を用いたフレッティング疲労試験も引き続き検討に入っており,次年度前半にはその結果が明らかになる予定である.
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Research Products
(1 results)