2003 Fiscal Year Annual Research Report
立方晶窒化ホウ素(cBN)の金属との熱化学反応を利用した微細加工
Project/Area Number |
15760076
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
比田井 洋史 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (60313334)
|
Keywords | cBN / 熱化学反応 / 金属粉 / 微細加工 |
Research Abstract |
立方晶窒化ホウ素(cBN)は高硬度,高熱伝導率,耐熱性など優れた性質を持つ.近年,バインダレス焼結体を製造する技術が開発され,単結晶に比べ大型の高純度cBNが得られるようになり,ヒートシンク等への応用が始まりつつある.しかしcBNはその高硬度ゆえ加工が難しく,応用の妨げになっている. ところで,cBNと近い性質をもつダイヤモンドを高温の金属と反応させて研磨する手法がある.cBNはダイヤモンドと比べ金属との反応性が低いとされているものの,cBNと金属との反応性についての詳細な報告は少ない.そこで本研究では,cBNと各種金属との高温での反応性を調査し,またその反応を利用した微細加工を目的とし,本年度は反応性について調査した. 鉄,クロム,ニッケル,マンガン,モリブデン粉とcBNとの反応性を確認するため加熱実験を行なった.cBN結晶はφ5×2.5の白金パンに金属粉で埋めるように充填した.この時,質量は15〜20mg程度とした.加熱の際は一旦10Pa程度まで排気した後,アルゴンガスを流入させた.加熱は,20K/minで昇温し,所定の温度で30分間その温度を保持した. 加熱後,cBN結晶を取り出し,アセトン中で超音波洗浄して付着した金属粉を落とした後,SEM観察した.その結果,モリブデン以外で表面に凹みが観察でき,鉄,クロム,マンガンの場合には平均の穴径が2〜3μmであった.ニッケルを用いた場合6〜10μmと最も大きかった.これらのことより,cBNとの反応性はニッケルが最も高いと明らかになった.さらに,加熱温度がcBNの損耗量に及ぼす影響を調べた.ニッケル粉中にcBN結晶を埋めたものを900〜1300℃に加熱した.その結果,1000℃程度から反応が認められた.
|