2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760077
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
篠塚 淳 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30282841)
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Keywords | 薄膜熱電対 / PVD / 切削加工 / コーティング工具 / 切削温度 / モニタリング / 反応性スパッタリング / 微小センサ |
Research Abstract |
切削中の工具表面の温度分布や応力分布は,工具摩耗状況や工具の異常欠損を把握する上で非常に重要な物理量であるが,これらを直接測定することは非常に困難であり,現在までに行われた例は非常に少ない.そこで,工具表面に薄膜成膜技術を応用して微細な温度や力センサ郡を成膜し,切削中の工具表面の温度分布や応力分布を直接測定できるナノ薄膜センサ内蔵型インテリジェント工具を発案した. 今年度は,切削中の工具すくい面温度を測定するために,薄膜熱電対をアルミナ工具のすくい面にPVDで成膜し,その上に切りくずの擦過による摩擦からセンサを保護するための保護膜を成膜したセンサ内蔵切削工具を試作した.機械構造用炭素鋼S45Cを被削材として切削実験を行い,試作センサ内蔵工具の性能を吟味した.薄膜熱電対は,白金-白金13%ロジウム熱電対とし,膜厚はそれぞれ0.5〜1.0μmとした.薄膜熱電対の諸特性を把握するため,センサは1対でその大きさは縦5.0mm,横1.8mmとし,切削の平均温度を測定した.保護層にはアルミナと,窒化アルミニウムの2種類を成膜した.アルミナ膜は,アルミナをターゲットとてRFスパッタし,窒化アルミニウムはアルミニウムをターゲットとして窒素ガスを用いた反応性スパッタで成膜した.各膜厚は,アルミナが5〜10μm,窒化アルミニウムが1μmである.切削実験を行ったところ,どちらの保護層でもノイズの少ない安定した切削温度を測定することができることを確認した.以上の結果を論文にし,国際学会で発表報告した. 今後の課題点として,それぞれの薄膜の付着力の強化,温度分布を測定するために熱電対を微細化し多数の熱電対を精度良く成膜することが挙げられた.また工具に負荷する力を測定するため,窒化アルミニウムの圧電効果を力測定に利用することを現在検討中である.
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Research Products
(1 results)