2003 Fiscal Year Annual Research Report
分子線エピタキシによるナノテクスチャの創成-表面誘起反応によるナノ構造の形成-
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15760082
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
金子 新 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (30347273)
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Keywords | シリコン / 分子線エピタキシ / テクスチャ |
Research Abstract |
今年度はボロン(B)が析出したシリコン(Si)表面におけるSiの成長機構を明らかにするとともに,不純物を局所的かつ選択的に導入すること目的としたマスク形成技術の確立を行ってきた. はじめに,あらかじめBを導入したSi基板を900℃で加熱することでBを表面偏析させ,700℃前後でSiを分子線エピタキシにより成長させた.Si(111)基板の場合には,B濃度に拘わらずステップフロー成長に起因したステップバンド構造が形成されるが,B濃度が10^<20>cm^<-3>を超えるとステップバンドが高くなる.このことから,Si(111)表面ではBの表面偏析させることで吸着分子の拡散距離を長くさせ,結果的にステップ構造の幾何学的特徴に影響を及ぼすことがわかった.一方,Si(100)基板の場合には3次元島が創成されるが,B濃度が10^<20>cm^<-3>を超えると島は微細化した。すなわち,Si(111)表面の場合とは異なり,Bの表面偏析が吸着分子の表面拡散距離を短くさせ,3次元島の発生密度を高めることがわかった.すなわち,適切な濃度のB導入によりナノ構造の形状を制御可能であることがわかった. 次に,不純物の局所導入を実現させるマスクとして,微粒子の自己整列化を試みた.直径400nmの球状微粒子が含有する懸濁液をSi基板表面で乾燥させると,微粒子は六方細密充填で自己整列する.ここで,Si基板表面に局所的にぬれ性の異なる物質を導入させ,親水化領域で懸濁液を捕捉させることに成功し,結果として所望の位置に微粒子列を形成させることを可能とした.さらに,これらの微粒子列の間隙を通して不純物を導入させるために,ドライエッチング技術を利用してガス状物質の間隙への通過可能性を調査した.その結果,微粒子の間隙配列に対応した穴構造が形成できたため,同様にして不純物の選択堆積が可能であることがわかった.
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