2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760083
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
今井 登 上智大学, 理工学部, 助手 (60266070)
|
Keywords | 工作機械 / 熱変位 / 測定法 / 評価法 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまで、国際規格ISO230-3へ提案することを目標に工作機械の送り軸の直進運動により生じる熱変位を7つの非接触変位センサにより測定評価する方法の開発を行なってきた。本測定法は、運動方向とそれに直交する方向の計3方向の並進偏差と各方向回りの3つの角度偏差を、送り運動の両端の2つのターゲット上で検出し、送り運動の中央に置いたターゲット上では上記運動偏差のうち運動方向以外の成分を検出して熱変位を評価するものである。 15年度の研究においては測定法に改良を加え、中央のターゲット上でも送り運動方向の熱変位が測定可能なようにした。その結果、従来のISO230-3に準じた方法では評価が行えなかった、熱変位への送りねじの熱膨張の影響と、機械構造本体の熱変形による影響が明確に分離・評価が行えるようになった。 さらに、本測定法を用い、これまでXYZの各軸方向のそれぞれについて単独で行なってきた熱変位測定試験(単軸運動)に加えて、より実稼動状態に近いこれらの軸を同時に運動させた場合(多軸同時運動)について測定試験を行った。具体的にはXY平面内での円運動および対角線運動、XYZ軸の対角線運動の3つの運動条件により,それぞれ2台の工作機械を対象とした試験を行なった。その結果、多軸同時運動により生じる熱変位は単軸運動により生じる熱変位の和と等しいこと、熱変位は運動の軌跡に依存せず各軸に加わる熱負荷にのみ依存することが明らかとなった。すなわち、各軸ごとに熱変位試験を行なわなくても、多軸同時運動で高能率に熱変位が評価でき、さらに、多軸同時運動では複雑な経路を設定する必要が無いという、規格立案に際し有用な知見が得られた。
|