2003 Fiscal Year Annual Research Report
オニオン構造ナノ分子ベアリングによる高真空下固体潤滑システムに関する研究
Project/Area Number |
15760089
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 敦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50242277)
|
Keywords | オニオン構造 / ナノ分子 / ベアリング / 固体潤滑 / カーボン / 窒化ホウ素 |
Research Abstract |
ダイヤモンドのクラスタ(平均粒径約5nm)もしくは単結晶微粒子(平均粒径0.5μm以下)を原料とし,熱処理により炭素のオニオン構造ナノ粒子であるカーボンオニオンの生成を試みた.熱処理には赤外線イメージ炉を使用して,最高加熱温度,加熱時間,雰囲気ガス種,雰囲気圧力,原料微粒子サイズをパラメータとして変化させ,原料微粒子からカーボンオニオンに転換する条件について検討した.熱処理により得られた生成物の構造は透過型電子顕微鏡,X線回折法,ラマン分光分析で解析,評価した.また,生成物の潤滑特性はボールオンディスク式摩擦試験により評価した.その結果を以下に示す. 1.アルゴンガス中,最高温度1730℃で1分間加熱することにより,原料ダイヤモンドの粒径に対応したカーボンオニオンが生成される. 2.カーボンオニオンの潤滑特性は,大気中,真空中どちらにおいても黒鉛粉よりも優れる. 3.カーボンオニオンの潤滑特性は,その粒径としゅう動面粗さとの関係,および摩擦環境中の水分の有無に依存する. 4.欠陥の少ないカーボンオニオンほど優れた潤滑特性を示す. 5.カーボンオニオンを固体潤滑材として利用することでしゅう動部材の摩耗が減少する. また,平均粒径0.5μmの立方晶窒化ホウ素粉および平均粒径4μmの六方晶窒化ホウ素粉をカーボンオニオンの生成と同様に赤外線イメージ炉を使用して加熱処理した結果,最高温度1500℃で60分間,アルゴンもしくは窒素雰囲気の加熱条件では,六方晶窒化ホウ素の構造は安定であるが,立方晶窒化ホウ素の構造が六方晶のオニオン構造に安定して転換することは確認されなかった.
|
Research Products
(1 results)