2003 Fiscal Year Annual Research Report
高度に制御された赤外線レーザによる高自由度マイクロ加工の基礎的研究
Project/Area Number |
15760126
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 卓志 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (20302937)
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Keywords | 赤外線レーザ / 板ガラス / アクリル / アブレーション / 穴あけ加工 / マイクロレンズ / 微細突起 / 形状精度 |
Research Abstract |
本研究では,高度に制御された赤外線レーザにより,光学部品材料などの表面における自由変形微細加工の可能性を検討している.すなわち,従来の研磨加工,あるいは型による形状付与加工とは異なる,簡易でフレキシビリティに富んだ表面形状作製手法について,基礎的知見を蓄積することを目的としている. 本年度は,高精度加工が困難とされている二酸化珪素をベースとするアモルファス材料,いわゆる板ガラスと,ガラス代替材料として広く使用されるPMMA(アクリル)板に対し,その表面を様々な強度あるいは照射時間に設定した炭酸ガスレーザでパルス加熱し,レーザ照射条件により変化する材料表面の溶融化からアブレーションの至るプロセスの把握を行った.さらに,サーモカメラによる温度計測結果とつき合わせることで,材料表面の変形開始温度,ならびにアブレーション開始温度の推定を行った. その結果,レーザ照射によりガラス表面はいったん凸形状となるが,照射時間の延長,またはレーザ強度の増加によりアブレーションが生じるため凹形状と変化することを確認した.ただしこの場合,アブレーション飛散物質は孔周辺に堆積しており,形状精度を損なう原因となった.試験に使用したガラス板材の表面変形開始温度ならびにアブレーション開始温度は,それぞれ約300℃,約800℃と推定された.アブレーションが生じない条件において,材料の溶融・急速再凝固により板ガラス表面に得られた突起は,直径数百ミクロン,高さ数十ミクロン程度の大きさを有した.これは例えばマイクロレンズの粗形作製や,ミクロンレベルのスペーサ作製技術として有用と考えられる.一方,アクリル材において,材料溶融およびアブレーションによる孔あけ加工は観察されたが,表面における突起形状を得ることはできなかった.孔内部および周辺部を詳細に観察した結果,これは供給エネルギ過多により材料が瞬時にアブレーションを生じたためと推定した.
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Research Products
(1 results)