2005 Fiscal Year Annual Research Report
ノイズを考慮した熱対流場の確率論的挙動の解明と応用
Project/Area Number |
15760132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 秀士 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (80283737)
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Keywords | リアプノフ指数 / 統計構造関数 / 熱流束振動 / カオス / 共鳴 |
Research Abstract |
本年度は結果として過年度に得られた結果の論文化を重点的に行った.まず,初年度に行った不変集合上の確率測度の一様化現象に関して,粗視化に伴う確率測度の支配方程式であるマスター方程式と有限体積法・一次風上差分による離散化方程式が等価であること,またこの方程式が散逸系でよく知られている平均位相空間収縮率とエントロピー生成が一致するという関係式を満たしていることを証明し,J.Comp.Phys.に論文を提出した(審査中).この結果は一次風上差分という今やより高次の風上差分に置き換えられてしまった差分スキームが,非平衡統計力学の上でまさに物理的な実体として意味を持つことを明らかにした点で画期的である.また,前年度に検討を行った熱流束振動を加えた正方容器内熱対流場の内部重力波共鳴の検討であるが,さらにアスペクト比が大きい矩形容器内部の熱対流場に対して同様な検討を行った結果,正方容器内部では見られない,2つの共鳴周波数の存在が世界で初めて明らかとなった.また,ある適当な代表周波数で加振周波数をスケーリングすると,Ra,アスペクト比に依存しないような形式で加振周波数に対する熱対流場の変化を記述することが可能となることを初めて示した.これらの成果は日本機械学会論文集に投稿済み(審査中)である. また,今年度は前年度までに提出した論文のリバイスや日本語論文の翻訳・英語による公表にも行い,次ページに示す3本の論文をアクセプト・掲載させることができた. さらにまだ論文を提出してはいないが,初年度に確率測度の一様化現象がメゾスコピック系において巨視的初期状態が同じ場合に巨視的非定常変化を生み出すメカニズムになりうることを指摘したが,この現象が極めて普遍的な現象であることが微視的モデルの検討により明らかになりつつある.この成果も今後論文等で発表していく予定である.
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Research Products
(3 results)