2003 Fiscal Year Annual Research Report
脈動流場における熱・物質輸送特性およびその制御性に関する基礎研究
Project/Area Number |
15760139
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
齊藤 弘順 崇城大学, 工学部, 講師 (00331059)
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Keywords | 脈動流 / 流れの可視化 / 温度場の可視化 / 境界層 / 渦 / 熱伝導率 |
Research Abstract |
本研究は内部流れを対象に、脈動流場を決定づける諸因子(平均流量、脈動のモード、周波数、振幅)による速度および圧力の変動が壁面近傍の速度・温度境界層に及ぼす影響を実験的に調べ、定常流中に内在する乱れと大規模な流量変動との相互干渉のメカニズムを解明することを目的としている。平成15年度は実施計画どおり、水素気泡法による流れの可視化装置を新設(自製)し、マクロな視点から流量変動による壁面近傍の流脈の変化を捉えた。流れの可視化実験の結果、層流域においては、時間周期的に流量が変動することにより、大規模な渦流れが形成されることを明らかにした。これまでの伝熱案験によって、定常流よりも脈動流の方が高い熱伝達率が得られることが明らかとなっていたが、流れの可視化実験によって、脈動による伝熱促進は、形成される渦により壁面に垂直方向の速度成分が生じ壁面近傍の混合が促進されることに起因するという新しい知見が得られた。同時にカラーシュリーレン法による温度場(密度場)の可視化も行い、渦流れが温度場に及ぼす影響に対し、上記考察に合理的な結果が得られた。現在、この結果を輸送現象に関する国際会議(ISTP : International Symposium on Transport Phenomena)で発表すべくデータ整理中である。尚、平成16年度は、脈動のモード(連続的正弦波変動or断続的パルス変動)、脈動周波数および振幅(平均流量と変動幅との比)が流れ場および温度場に及ぼす影響をより詳細に調べる予定である。 流れ場に対し複数の制御因子を有する脈動流による伝熱促進機構の解明は、これまでの定常流をベースとした機械装置の温度制御を受動型から能動型へと移行する可能性を示唆するものであり、平成15年度は、一般に"冷却・加熱"と称している技術から"温度場制御"技術への進展を期待させるに足るだけの結果が得られたものと考えている。
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