2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760143
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
岩本 晃史 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (00260050)
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Keywords | 界面熱抵抗 / 界面状態依存性 / 新しい測定手法 / 極低温環境下 / 熱伝導率 |
Research Abstract |
新たな界面熱抵抗の測定手法の検討とその手法の実証試験を行った。界面熱抵抗の測定には次のような試料及び手法を採用する。温度測定の基盤となる2枚の銅プレートの間に樹脂を挟み込み、同時にその樹脂により銅プレートに接着された構造の試料を作製する。温度測定は2枚の銅プレートに取り付けた温度センサーにより行い、熱流束は一方の銅プレートに取り付けたヒータにより発生させ、他方のプレートはある一定温度状態を維持させる。原理は熱伝導率測定の定常熱流束法と同様である。さて、この試料では樹脂の厚みのみを変化させると、樹脂部分の熱抵抗のみが変化し、樹脂-銅界面の熱抵抗が変化しない状態を得ることができる。この測定では樹脂の熱伝導率と銅-樹脂間の界面熱抵抗の2種類の未知数が含まれる。ここで、樹脂の厚みの異なる2つの試料を用意すると2種類の未知数に対して2つの熱バランスの式を得ることができる。試料の製作精度や測定温度を管理することができれば、この2式から2つの未知数を導き出すことが可能になる。すなわち、本試料及び手法により樹脂の熱伝導率と銅-樹脂間の界面熱抵抗の同時測定が可能である。今年度行った実証試験では最初から界面熱抵抗を評価することは困難であると判断し、温度測定基盤を無酸素銅、先ほどの手法説明中の樹脂に代わり熱伝導材として5mm又は10mmの厚みのSUS、ダミー界面熱抵抗としてStycast薄膜を採用した2つの試料を製作した。測定温度は300K-10Kの範囲とし、冷却には10K-GM冷凍機を使用した。測定の結果、本手法により全ての測定温度範囲でSUSとダミー界面熱抵抗であるStycast薄膜の熱伝導率を正確に評価することができた。また、極低温になるに従い、本来の界面熱抵抗のよる影響であると考えられる測定値の変化が見られた。以上のように本測定手法が界面熱抵抗の測定手法として有効であることを実証した。
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