2005 Fiscal Year Annual Research Report
圧電フィルムを用いた薄膜状分布型スマートダンパの開発
Project/Area Number |
15760148
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西垣 勉 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80251643)
|
Keywords | 圧電フィルム / 分布型センサ / アクチュエータ / 振動制御 / スマート構造 / 柔軟構造物 |
Research Abstract |
本研究では,圧電フィルムを用いた薄膜状ダンパ,すなわち任意の曲率を有する薄肉構造物の表面にシール状に貼付して外部の駆動回路に接続すれば,構造物の境界条件やフィルムのサイズ・貼付位置にかかわらず何らかの振動抑制効果を発揮するような,いわば「スマートダンパ」の開発を目的とし,その具現化の方法として,積層化した圧電フィルムの表裏にマトリックス状の電極パターンを形成させ,個々のユニットを外部の回路で分散制御的に駆動させる方法を提案し,スマートダンパとしてのメカニズムの設計手法について検討して,その有効性を数値解析および実験によって検証することを方針とした. 平成17年度は,平成16年度のまで理論解析結果および予備実験結果を基礎として実際に薄膜状ダンパによる柔軟ばりのアクティブ制振を試みることを目的とした.まず,前年度の結果をもとに,スマートダンパの柔軟ばりへの適用を考え,4層構造の積層型圧電フィルムを作製した.ここでフィルム2層ずつをそれぞれ1枚のセンサ/アクチュエータとして用いる電磁シールド構造とした.次に,厚さ0.5mm,幅30mm,長さ215mmのアルミニウムの片持ばりの一表面に上記で製作した積層圧電フィルムを貼付し,このはりの一点に衝撃入力が加わる場合の減衰自由振動制御実験を行い,実際に制御効果が得られることを確認した.また,本手法におけるスマート化を達成するため,当該スマートダンパのセルフセンシングアクチュエータとしての自己調整機能についても検討し,ディジタル回路を援用したLMSアルゴリズムによってその機能が実現できることを確認した. 以上の成果により,積層化圧電フィルムおよび外部の駆動回路によって,構造物の境界条件やフィルムのサイズ・貼付位置にかかわらず何らかの振動抑制効果を発揮するような,いわば「スマートダンパ」が実現できる可能性を確認できたといえる.
|