2003 Fiscal Year Annual Research Report
超音波の音響放射圧を用いたアクティブ制御式非接触支持・搬送システムの開発
Project/Area Number |
15760158
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡辺 亨 日本大学, 理工学部, 講師 (80265933)
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Keywords | 非接触搬送 / 音響放射圧 / アクティブ制御 / 超音波 / 運動と振動の制御 / アクチュエータ |
Research Abstract |
超音波振動子の振動面に平行にごく短いギャップ間隔で平面を配置すると、振動面と平面の間に音響放射圧による反発力が生じる。この力を発生するアクチュエータを水平方向に並べて上に被搬送物体を置き、搬送方向にあるアクチュエータの出力を下げてわずかに被搬送物体を傾斜させてやれば、被搬送物体は傾斜した方向へ移動を始めると予想される。これにより非接触搬送が可能となる。 このアイディアに基づき、本研究では提案する搬送装置の可能性を実証するために、実際に非接触浮上式アクティブ搬送装置を製作し、搬送が可能であるかの原理的な検証を行った上で非接触浮上式搬送装置を開発することを目的としている。 計画に従い、本年度は最初に、非接触浮上式アクティブ制御搬送装置装置を製作した。音響放射圧を発生する超音波振動子は既存の超音波ウェルダーを改造した。被搬送物体は非磁性体のガラス板とし、周囲を支持する枠との間でごく細い糸により水平方向の運動を拘束し、搬送方向以外の方向の静的安定を確保した。 この実験システムを用いて搬送の可能性について実験的に検討し、非接触搬送が原理的に可能である事を確認した。しかしその際、音響放射圧制御システム自体の安定性・精度が低く、音響放射圧勾配を正確に与える事が極めて困難であること、また音圧の距離依存性が予想以上に大きな非線形として作用する事も同時に明らかとなった。すなわち、非接触搬送を実現するためには、一足飛びに搬送を行うのではなく(その前提としての)音圧制御システム自体の改良・動力学的特性の詳細な検討が必要であることを確認した。 そこでその後の計画を修正し、音圧制御システムの改良と距離-音圧特性を考慮した制御スキームを考案することを目的として検討を行っている。現在、非接触に振動を制御することに成功した段階であり、引き続き非線形特性の同定と制御スキームの検討を行う予定である。
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