2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ分光法による非熱平衡プラズマのラジカル計測および反応過程の研究
Project/Area Number |
15760192
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小野 亮 独立行政法人産業技術総合研究所, 爆発安全研究センター, 研究員 (90323443)
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Keywords | 非熱平衡プラズマ / パルスコロナ放電 / ストリーマ・ヘッド / 二次ストリーマ / バリア放電 / NOγバンド発光 / 二光子レーザ誘起蛍光法 / Oラジカル |
Research Abstract |
昨年度の研究では、パルスコロナ放電によるオゾンの生成は、これまで定説とされてきた一次ストリーマ(ストリーマ・ヘッド)によるものではなく、その後の二次ストリーマで生成されることを示した。ほとんどすべての研究でこの二次ストリーマは無視されてきており、非熱平衡プラズマのラジカル生成理論において、革新的な成果を得ることができた。今年度はNO分子のγバンドの発光をパルスコロナ放電で観測し、一次・二次ストリーマについて次の重要な知見を得た。(i)放電でO_2とN_2から生成されるNO分子は、すべて二次ストリーマで生成される、(ii)準安定準位のN_2(A)はすべて一次ストリーマで生成される(この実験では間接的N_2(A)を測定できる)。このようにストリーマ放電で生成される活性種は、その種類によって一次・二次ストリーマのどちらかで生成されることが分かり、今後の非熱平衡プラズマの研究の進め方の道程を示すことができた。またパルスコロナ放電とともにしばしば利用されるバリア放電についても同様の実験を行い、バリア放電にも一次・二次ストリーマが存在することを示した。バリア放電の研究でも、二次ストリーマを考慮するような、これまでと違ったアプローチが必要であることを示した。 二光子レーザ誘起蛍光法によりOラジカルをバリア放電下で測定し、その挙動を観測した。このような大気圧パルス放電でのOラジカルの測定は世界でも初めてである。その結果、Oラジカルの減衰速度は10-30μs程度で、オゾンの生成速度とほぼ等しいことが分かった。従来言われているように、OとO_2が反応してオゾンが生成されることを示すことができた。また湿度を加えるとOの減衰が著しく速くなり、従来知られていた「高湿度下ではオゾンの生成量が減る」という事実が、湿度によるOラジカルの減少に起因することを示した。またOラジカルの二次元分布も観測し、放電後Oラジカルが拡散する様子を観測した。
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Research Products
(6 results)