2003 Fiscal Year Annual Research Report
静止形電力変換器用PLLと,変換器出力の同期引込に関する研究
Project/Area Number |
15760198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
舟木 剛 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20263220)
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Keywords | PLL / 同期 / 変換器 / 位相検出 / 出力制御 / 有効電力 / 三相回路 / 単相回路 |
Research Abstract |
平成15年度は,変換器制御に適用するための電力回路用PLLの開発を行った。電子・通信回路と異なり電力回路では,単相・三相の二つの回路方式を考える必要があり,高調波の重畳や要求される位相の検出精度等も異なる。これらを踏まえ,以下に示す内容の研究を行った。 1)電力回路用位相比較器の開発 電力系統の基本構成である三相交流方式では,相回転の方向により正相・逆相を定義でき,各々を複素ベクトルして得ることができる。PLLの最も重要な構成要素として位相比較器があり,複素ベクトルを用いて位相比較を行うことで,脈動分の無い位相比較結果を得ることができる。位相比較器に用いる複素ベクトルの導出方法としてα-β座標変換より得た出力に対して,時間遅れ・ヒルベルト変換・フーリェ変換の各々を適用する方式について検討した。また単相交流回路に対して,時間遅れ・ヒルベルト変換・フーリェ変換の処理により仮想的に複素ベクトルを生成し,これらを位相比較器に適用する方法について検討した。 2)電力回路用PLLの特性評価 シグナルジェネレータを用いて,上記で開発した位相比較器によるPLLの位相・周波数の追従特性を実験により検討した。そして,電力系統及び変換器への適用を目的として,周波数変動が小さい条件下で位相の検出精度を高めるためのPLLの設計パラメータについて検討を行った。また,交流電圧基本波に高調波電圧を重畳させた波形をシグナルジェネレータにより生成し,位相比較器の外部入力とする実験を行い,高調波特性を評価した。逆相成分の含有量が増加した不平衡度が大きい状態では,三相交流の性質は単相のものに近くなることから,電力回路方式の単相・三相の位相比較器の構造の違いに基づく応答特性の差異について理論的・実験的に評価することを目的として,シグナルジェネレータ等を用いて三相系統の事故波形を模擬し,過渡追従特性について検討を行った。
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Research Products
(1 results)