Research Abstract |
本研究は,24ビットの超高分解能で,雷放電に伴う電界変化を記録できる装置を開発し,観測を行うことを目的としている。今年度,試作機を製作し,試験的な観測を行った。同機器は,アンテナセンサーとして,直径約30cmのアルミニウムの平板アンテナを用い,それを時定数約8秒の積分回路で積分し,電界変化のセンシングを行う。検出された電界変化は,アンテナ直下のA/D変換ボードに入力され,アンテナ直近でデジタル変換される。24ビット,44kHzでデジタル変換された信号は,光ファイバーを通して,屋内に設置されているPCに転送され,HDに格納されるようになっている。アンテナは,帯電した降水からの信号を識別できるよう鉛直下向きに設置される。時刻管理を世界標準時に同期して行うため,GPSを導入,制御用PCをNTPサーバーとして動作させた。観測用OSは,全自動観測のみならず,データ転送,観測制御を遠隔地から行えるようLinuxシステムを採用している。試験観測を大阪およびオーストラリア・ダーウィンで行った結果,少なくとも100km離れた雷放電を記録することに成功し,人工衛星搭載雷観測センサー(TRMM/LIS)との同期観測を行うことに成功した。その結果,LISが,必ずしも帰還雷撃過程を検出しているわけではないことが分かった。また,VHF広帯域干渉計との同期観測を行い,同アンテナシステムの有効性の検証を今後,行う予定である。また,現在,同様なシステムを多数製作しており,多地点観測を今後行う。
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