2003 Fiscal Year Annual Research Report
閃亜鉛鉱型Mn-IV族薄膜の安定合成法とハーフメタル特性
Project/Area Number |
15760212
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 伸 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50344700)
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Keywords | Mn-IV族薄膜 / ハーフメタル / 閃亜鉛鉱型構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は、スパッタリング法によるMn-IV族膜の閃亜鉛鉱型構造安定作製法の確立とその強磁性について検討することにある。積層界面近傍での強磁性の発現とその電気伝導は、自在な電子スピン制御デバイスを実現するための基礎物理的現象であり、その主導原理の解明が強く求められている。磁性半導体の分野の研究から発見されたGaAs基板上での数原子層のハーフメタル強磁性の閃亜鉛鉱型CrAs,CrSb相の形成、ならびに強磁性材料の探査研究から発見されたMn-Si系積層構成膜による強磁性の発現を鑑みると、エピタキシャル成長を利用した閃亜鉛鉱型MnIV族相の実現の可能性、その磁性について、非常に興味がもたれる。 今年度は、プロセス上界面設計の容易な低成膜速度スパッタ装置を用い、ダイヤモンド構造型基板ならびに閃亜鉛鉱型基板上にMn-IV族エピタキシャル膜を作製し、準安定相である閃亜鉛鉱型相の形成条件について検討した。プロセス時の不純物混入を極力抑制すべく、装置内壁をCr_2O_3化処理した超高真空対応 多元スパッタリング装置(到達真空度:5×10^<-10>Torr)を用い、閃亜鉛鉱型もしくはダイヤモンド構造の単結晶Si,Ge,InP基板上にMn-IV族膜を成膜し構造と磁性について検討した。その結果、(1)C保護膜を設けた300℃熱処理後のMnSi薄膜が室温で強磁性を示すこと(第27回日本応用磁気学会学術講演会(2003年9月,大阪大学)、第77回スピニクス特別研究会(2003年11月,秋田)にて発表)、(2)基板温度300℃で作製したMnGe薄膜はキュリー点が℃程度の強磁性を示すこと(未発表)がわかった。ただし、薄膜中の形成相については、目的の閃亜鉛鉱型相を実現していないため、次年度は、基板原子の拡散を抑制しつつ四面体配位結合を促進させて、閃亜鉛型構造での強磁性の発現を目指す。
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