2004 Fiscal Year Annual Research Report
閃亜鉛鉱型Mn-IV族薄膜の安定合成法とハーフメタル特性
Project/Area Number |
15760212
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齊藤 伸 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50344700)
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Keywords | MnTe / 閃亜鉛鉱 / ウルツ鉱 |
Research Abstract |
本研究の目的は、スパッタリング法によるMn-IV族膜の閃亜鉛鉱型構造安定作製法の確立とその強磁性について検討することにある。積層界面近傍での強磁性の発現とその電気伝導は、自在な電子スピン制御デバイスを実現するための基礎物理的現象であり、その主導原理の解明が強く求められている。磁性半導体の分野の研究から発見されたGaAs基板上での数原子層のハーフメタル強磁性の閃亜鉛鉱型CrAs,CrSb相の形成、ならびに強磁性材料の探査研究から発見されたMn-Si系積層構成膜による強磁性の発現を鑑みると、エピタキシャル成長を利用した閃亜鉛鉱型MnIV族相の実現の可能性、その磁性について、非常に興味がもたれる。 今年度は、プロセス上界面設計の容易な低成膜速度スパッタ装置を用い、SiをIV族からVI族の半導体、半金属元素全般に拡張した材料系について閃亜鉛鉱型構造の実現可能性とその磁性に関して検討した。その結果、(1)Mn-VI族では周期に依存して、イオン結合性(MgO構造)、共有結合性(ウルツ鉱構造、閃亜鉛鉱構造)、金属結合性(NiAs型構造)の安定性が変化し、低周期ではイオン結合、高周期では金属結合が安定となること、(2)この指針に基づき第5周期のTeを選定しMnと同時スパッタ成膜したところ、室温成膜でもウルツ鉱薄膜が容易に得られること、(3)ウルツ鉱型MnTe薄膜は絶縁性であり、ネール温度60Kの反強磁性体であること、(4)ウルツ鉱と閃亜鉛鉱とは類似構造であるため、多層膜化により閃亜鉛鉱型構造を安定形成させ、元素添加により導電性をもたせることによりハーフメタル特性が発現する可能性があること等の知見が得られた。
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