2003 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場化学気相法を用いたYBCO膜の組織制御による臨界電流密度特性の研究
Project/Area Number |
15760213
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
淡路 智 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (10222770)
|
Keywords | 酸化物高温超伝導体 / 化学気相法 / 配向性 / 強磁場 / 臨界電流密度 |
Research Abstract |
実験計画に基づいて本年度は成膜装置の改造を中心に実施した.成膜の安定性向上のため,基板加熱装置を購入し,これを組み込むことによって基板周辺の温度勾配をより急峻にした.このことにより,かねてから懸念されていた基板に到達する前段階での原料の分解・YBCOの反応生成を抑制できると期待できる.装置のリーク等で装置改造に時間を要したが,改造に関しては無事終了した.また,これの装置改造の前に作製した多結晶基板の結果では,基板とYBCOの格子ミスマッチの大きいYSZの場合には,その臨界温度が約80Kと低くなる傾向があるが,磁場中成膜によって臨界温度の向上が見られることが分かった.MgO基板でも同様で,磁場中プロセスによって特性の悪い試料でも,超伝導特性の向上が見られることが明らかなとなった.この原因についてはまだ明らかではないが,膜の成長機構が磁場によって変更され,欠陥や歪みの導入が抑えられている可能性がある.さらにMgO基板上で作製したYBCOでは,基板が単結晶のため面内配向性も得られるが,その面内配向性もまた磁場によって向上することが分かっている.磁場によって面内配向性を変化させた試料では,その輸送特性の角度依存性に現れるB//c方向の特異なピークに違いが現れる.これは,主に粒界ピンニングが面内配向性の違いによって変化していることを意味している.この様に,磁場中成膜には,明らかになっていない点が多いが,磁場効果として得られている現象について,結晶成長の立場から解析を行う必要があり,来年度以降にはこれらの結晶成長と磁束ピンニングとの両面からのアプローチを行う予定である.
|
Research Products
(1 results)