2003 Fiscal Year Annual Research Report
高効率ナノ結晶シリコンEL素子の高安定化と多色化に関する研究
Project/Area Number |
15760237
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
BERNAD GELLOZ 東京農工大学, 工学部, 助手 (40343157)
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Keywords | エレクトロルミネッセンス / シリコンナノ結晶 / 発光効率 / 動作安定化 / 表面パッシベーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、ナノ結晶シリコンからの可視エレクトロルミネセンス(EL)の効率および安定性の向上である。これらを実現するために2つの主要な実験を試みた。 まず、表面電極とナノ結晶層の間に位置したカーボンバッファーフィルムの影響について調べた。その結果、ELの発光効率と安定性が著しく増大することが分かった。これはカーボンバッファーがシリコンナノ結晶に対し、それぞれ機械的、電気的、化学的に電極との接触を改善したためであり、また炭素が非常に安定した要素であることに起因している。更に、この技術はこれまでよりも非常に低い電圧(3V)でELを可能にした。これ以外にも、我々の作製したELデバイスはユニークな特性を示す。その一つは、電圧によってELスペクトルのピーク波長を制御することができる点である。本素子において、世界記録の電力効率0.37%を達成した。また、3cd/m^2の発光輝度を得た。 次に、素子の安定性向上について実験した。素子動作中および大気での保管中に、ナノ結晶シリコンを用いたEL素子は、シリコン表面の酸化の影響を非常に強く受ける。そこで、更なる酸化を抑制するために、ナノ結晶シリコン表面を覆っている不安定な水素を、安定した有機分子と置き換えることを試みた。我々は、1-デセンおよびエチルウンデシレン酸を用いてナノ結晶表面を修飾することにより、高いELの安定性を実現した。特に数日間の直流連続動作におけるEL強度は一定であり、素子の安定性向上に有効な手段であることが示された。 以上、二つの手法を用いてシリコン発光素子の効率および安定性の向上を実現した。来年度は、より応用的な部分を念頭に置き、シリコンベースのLEDを達成するため、先に示した2つの技術を組み合わせることを検討する。特に電力効率を1%まで改善することを目標にし、さらに有機分子による最適な終端処理を可能にするため、他の分子についても実験を試みる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] B.Gelloz, N.Koshida: "High performance electroluminescence from nanocrystalline Si with carbon buffer"Japanese Journal of Applied Physics. (in press). (2004)
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[Publications] B.Gelloz: "Stabilization of porous silicon electroluminescence by surface passivation with controlled covalent bonds"Applied Physics Letters. 83(12). 2342-2344 (2003)
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[Publications] N.Koshida, B.Gelloz: "Photon, electron and ultrasonic emission from nanocrystalline porous silicon devices"Material Research Society Symposium Proceedings, Quantum Confined Semiconductor Nanostructures. 737. 801-812 (2003)
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[Publications] B.Gelloz, N.Koshida: "Effects of Amorphous Carbon Films on the Performance of Porous Silicon Electroluminescence"Material Research Society Symposium Proceedings, Quantum Confined Semiconductor Nanostructures. 737. 581-588 (2003)
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[Publications] B.Gelloz, N.Koshida: "Handbook of Luminescence, Display Materials, and Devices"Electroluminescence of Nanocrystalline Porous Silicon Devices. Chapter V 127-156 (2003)