2003 Fiscal Year Annual Research Report
電子管を用いた無線電力伝送用アクティブフェイズドアレイの研究
Project/Area Number |
15760241
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 真毅 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助教授 (10283657)
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Keywords | 宇宙太陽発電所SPS / マイクロ波エネルギー伝送 / 電力分配器 / アクティブ集積アンテナ / 導波管 |
Research Abstract |
研究目的は電子管を用いた低損失のアクティブフェイズドシステムの構築である。電子管としてはこれまで申請者が研究を行ってきた位相制御マグネトロンを用いる。アクティブフェイズドアレイを構築するために必要な電力分配器及び移相器にはアクティブ集積アンテナを用いる。アクティブ集積アンテナは、受電アンテナ、マイクロ波回路、送電アンテナから構成される積層のマイクロ波回路で、一旦空間放射したマイクロ波を受電アンテナを通して回路に給電し、再びアンテナから放射するものである。 今年度は、導波管スロット給電アクティブ集積アンテナ(AIA)における結合度の向上を目的として、特に導波管の構造を変更するという新手法をベースとして解析モデルを構築し、HFSSを用いたシミュレーションによる解析・評価を行った。その結果、導波管の等価的な特性インピーダンスを、マイクロストリップ線路の特性インピーダンスに近づけたことで、リターンロス-16dB以下、結合度約90%を得ることができた。特に結合度は、昨年度の限界であった60%から大きく改善することに成功した。リターンロスと結合度両方を含めた指標である挿入損失は-0.6dBであった。システムの要求としては、-0.5dB以下であるから、更に改善が必要である。特にリターンロスに関しては、パラメータ解析を更に進めれば改善の余地はあると考えている。 今後の課題をとしては、まず、設計周波数で最適とするような設計手法の確立を行うことが挙げられる。更に、試作評価試験を行い、シミュレーション上で得られた結合度が実際に得られるかを確認する。また、低損失移相器を実際に実装して、導波管スロット結合AIAのシステムとしての性能評価を行うことが必要である。
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