Research Abstract |
前年度に引き続き目標とする紫外線検出器の実現に向けて研究を行った.特許出願済の独自技術[1,2]を用いて単結晶シリコン(111)基板上に酸化マグネシウム亜鉛(ZnMgO)混晶膜を作製し,波長選択性を有する光導電型セルを試作した.しかし,当セルの光応答性を調べたところ,光スイッチング特性(ON/OFF比と時定数)が悪いことに気がついた.この特性を改善するためには,ヘテロ接合やショットキー電極の導入が不可欠である.そこで,自発分極およびピエゾ分極によってZnO井戸層に2次元電子ガスが形成されるZnMgO/ZnO/ZnMgOダブルヘテロ構造を利用して,トップゲート型の電界効果トランジスター(FET)を試作した.ここで,ZnO井戸層による紫外光の吸収を減らすため井戸幅を薄く設定し,さらにゲート電極の光透過性を高めるためAu/Tiショットキー電極を薄く設定した.FET動作時に波長の異なる単色光を照射したところ,ZnMgO障壁層のバンドギャップエネルギーに相当する紫外光を照射した際に大きな光電流を検出した.また,ゲート電圧を閾値電圧よりもやや低く設定することで,光スイッチング特性が大幅に改善されることも判った.以上の結果は,当該FET構造が目標とする電源一体型のウェアラブル紫外線検出器の実現に有望であることを示すものである. [1]単結晶シリコン基板上の酸化亜鉛単結晶膜の製造方法,矢野,井上,佐々,小池 特開2003-165793,科学技術振興事業団から出願,2001年11月 [2]薄膜積層構造体及びその製造方法,矢野,井上,佐々,小池 特開2005-145753,科学技術振興機構・大阪工大摂南大学から出願,2003年11月
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