2003 Fiscal Year Annual Research Report
複数の鏡面反射成分に自動追尾可能な高速車両用移動通信方式の研究
Project/Area Number |
15760285
|
Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
浜村 昌則 高知工科大学, 工学部, 講師 (80333227)
|
Keywords | アレーアンテナ / 適応信号処理 / 車速感応型 / 移動通信 / 高速車両 / ITS |
Research Abstract |
周波数差のある複数の鏡面反射成分の自動追尾を目的とした新手法について検討を行った.具体的な伝搬環境としては,強勢な鏡面波2波に加え,微小電力の散乱波多数が到来する環境を想定した. まず,車速感応型アレーアンテナの重み更新アルゴリズムにMMSEアルゴリズムを用い,強勢な鏡面波2波のうち電力の強い主波を自動的に捕捉できるかどうか検証してみた.結果として,2波の到来角が比較的離れているときにはほぼ理想的に主波を捕らえられるが,2波の到来角が近いときには,両波の相互干渉により,主波の捕捉が困難になることが分かった.そこでアンテナ重み更新アルゴリズムにCMAを用いる方式で検討を行ってみた.その結果,2波の到来角が近い場合の主波捕捉特性が大幅に改善されることが分かった.しかし,電力の小さな副波が移動車両の横方向から到来するとき,CMAでは副波を捕捉してしまうことも分かった.そこで,アレーアンテナのビーム特性に基づき主波の到来角を予測し,到来角に応じて適応更新アルゴリズムを切り替える方式について検討を行った.この方式により,2波の到来角がどのような関係にあっても,電力の強い主波を自動的に捕捉できることを確認できた. 次に,受信機内部にアレーアンテナの重みセットを2セット用い,更に,車速感応型局部発振器(電圧制御発振器(VCO))も2つ用いる方式について検討した.2つのVCOの発振周波数は,各重みセットで形成されるアンテナビーム方向の到来波の中心周波数とした.この方式で主波及び副波を同時に捕らえダイバーシチ合成できたときには,通信性能の大幅な向上が可能なことを確認できた.主波の自動捕捉が一切の事前情報なしに可能となった方で,主波と副波の同時捕捉が現状のアルゴリズムでは困難なことが分かった.現在,この点を克服すべく検討を進めているところである.
|