2003 Fiscal Year Annual Research Report
非線形システムに対するモデル駆動型適応制御系の研究
Project/Area Number |
15760312
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
牛田 俊 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (30343114)
|
Keywords | モデル駆動型適応制御 / 内部モデル制御 / フィードバック誤差学習法 |
Research Abstract |
本研究では「モデル駆動型適応制御」と呼ばれる,制御対象をモデル化したシステムを適応的に制御器の内部に含むような新しいアーキテクチュアを用いて,非線形制御系の制御手法を確立することを試みる.モデル駆動型適応制御には様々な制御系の基本構造が考えられるが,本研究では「内部モデル制御」と「フィードフォワード・フィードバック2自由度制御系」を取り扱う. 本研究で提案する2自由度制御構造の適用課題の一つとして,非線形ダイレクトドライブアームの追従制御が挙げられる.本年度では,むだ時間を含むシステムにまで対象を拡張し,その適応制御系全体の安定性を理論および実機実験の両面から証明した.今後の課題として,より一般的な非線形むだ時間システムに対するモデル駆動型適応制御のアーキテクチュアの構築し,その制御性能の理論的評価を行う必要があるが,その基礎はほぼ出来上がったといえる. 本年度の研究実施計画のもうひとつの大きな柱として,人型二足歩行ロボットを用いた運動制御のメカニズムの解明が挙げられる.本研究のモデル駆動型2自由度適応制御系の構造を用いて,様々な歩行環境の変化の中で人間が行っている学習機構の解明を試みる予定であったが,歩行制御の前に,人間の運動制御の中でもっとも基本的な運動のひとつである「人の静止直立の制御機構」に関する研究を行った.様々な生理学的知見に基づいて,実際の人を被験者とした計測実験を繰り返す中で,人のバランス制御の本質をシンプルな形で表現するバイオメカニカルモデルを構築することができた.来年度は,このモデルを足がかりにして,モデル駆動型適応制御のアーキテクチュアを用いることにより,人間の学習機構の解明を試みる段階に入る.本研究の最終的な目標は,人を含む複雑かつ大規模な非線形システムに対して,モデル駆動型適応制御器の有効性とそれがもつ性質を理論実証両面から明らかにすることである.そして,実用的な制御系設計法に高めると共に,適応制御と人の運動制御の双方の分野に新しい発展をもたらすことを目指している.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] T.Miyamoto, S.Ushida H.Kimura: "Nonlinear Function Estimation with Locality Adaptive Feature Weighting and its Application to System Identification"The Proceeding of the 2^<nd> SICE Annual Conference. 2111-2115 (2003)
-
[Publications] S.Ushida, H.Kimura: "FEL and JIT Approaches to Tracking Adaptive Control based on the Internal Inverse Models"The Proceedings of 42^<nd> IEEE Conference on Decision and Control. 6363-6368 (2003)
-
[Publications] J.Terashita, S.Ushida H.Kimura: "Switching Structural Biomechanical Model of Multisensory Integration during Human Quiet Standing"The Proceedings of 43^<rd> IEEE Conference on Decision and Control. 発表予定. (2004)
-
[Publications] M.Senba, S.Ushida, H.Kimura: "A Human Stance Control Model with Reflex and Voluntary Movements"The Proceeding of the 3rd SICE Annual Conference. 発表予定. (2004)