2004 Fiscal Year Annual Research Report
拘束条件と可変ダイナミクスを含む非線形系の実時間最適制御アルゴリズム
Project/Area Number |
15760319
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大塚 敏之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40272174)
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Keywords | 非線形系 / 拘束条件 / 可変ダイナミクス / モデル予測制御 / Receding Horizon制御 / 実時間最適化 / 高速アルゴリズム / 前処理手法 |
Research Abstract |
本研究では,非線形モデル予測制御(Receding Horizon制御)の実時間アルゴリズムに対する改良を行った.モデル予測制御とは,各時刻で有限時間未来までの最適制御問題を解き,得られた最適制御の初期値のみを実際の制御入力として用いるフィードバック制御手法である.計算量の大きい非線形最適制御問題を実時間で解かなければならないため実装が困難だったが,代表者が効率的なアルゴリズムを近年提案し,いくつかの適用例によって有効性を示した.ただし,拘束条件や可変ダイナミクス等を含む複雑な問題では数値計算が発散してしまう場合もあったので,本研究では計算精度と安定性の向上に重点を置いた. 平成15年度には,解くべき問題を数値計算に適した形へ等価変換する前処理と呼ばれる手法を導入してある程度の精度向上に成功した.そして,ひもでつながれたホバークラフト模型の曳航制御実験に前処理を適用し,従来は不可能だった計算が実装可能となることを示した. 平成16年度には,さらに精度を向上させるため,最適化問題の定式化自体を見直した.従来は制御入力の系列のみを最適化問題の未知変数としてシステムの状態や共状態は入力の関数と見なしていたが,状態と共状態も未知変数として扱えば,最適性条件の誤差が多数の条件に分散されて誤差の下限値が減少するため,結果的に精度の向上が期待される.そのような定式化を数値計算によって評価したところ,従来の定式化では計算が破綻するが新たな定式化によって初めて計算可能となる例が確認された.したがって,問題のサイズ増大が問題にならない範囲においてではあるが,定式化の変更によって計算限界を一層広げることができた.以上と異なるアプローチで拘束条件を扱う例として,デザー衛星の力学を利用した切替制御則を提案し,衛星をつなぐデザー(ひも)を切れた場合でも母船との衝突回避が保証できることを示した.
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Research Products
(7 results)