Research Abstract |
事象の同時生起を考慮した離散事象システムのスーパバイザ制御に関して,以下のような成果が得られた. まず,オートマトンでモデル化された離散事象システムに対して,事象の同時生起を陽に取り扱えるようなスーパバイザ制御の枠組みを新たに提案した.そして,事象の同時生起のもとでも所望の仕様がスーパバイザ制御のもとで達成されるために,仕様が満足すべき性質としてConcurrent Well-Posedness (CWP)という概念を新たに定義し,仕様が可制御,Lm(G)-閉,CWPであることが,事象の完全観測のもとでスーパバイザが存在するための必要十分条件であることを証明した.また,この必要十分条件は,対象システムを表現するオートマトンの状態数と仕様を表現するオートマトンの状態数に関して多項式オーダで判定できることを明らかにした. 一方,離散事象システムで生起する事象の観測においては,センサの制限などの理由により,外部からは観測できない事象の存在を考慮する必要がある.そこで,従来提案されていた可観測条件を用いることにより,事象の部分観測のもとでスーパバイザが存在するための必要十分条件は,仕様が可制御,可観測,Lm(G)-閉かつCWPであることを証明した.しかし,一般には与えられた仕様がこの必要十分条件を満足するとは限らない.このような場合に対処するため,与えられた仕様に対して,閉じた最小可制御,可観測,CWP超言語が得られるスーパバイザの構成法,および閉じた極大可制御,可観測,CWP部分言語が得られるスーパバイザの構成法を明らかにした.
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