2004 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギ供給率のマッチングと非線形接続に基づく複雑システムの解析設計理論の構築
Project/Area Number |
15760324
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 博 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (70274561)
|
Keywords | 非線形システム / 制御理論 / ロバスト性 / システム安定論 / 制御系設計 / 複雑結合 |
Research Abstract |
本課題二年目の本年度は、初年度に創った基礎アイディアを統一的に整理して発展させ、複雑システムの解析や設計の理論枠組みを形作る研究に主に専念した。 初年度に個別ケースごとに有効性を発見した「エネルギ供給率の非線形接続」を一般化させた統一的理論を確立するだけでなく、自由な関数変数を供給率にアフィンな形で導入し、理論のシステムや非線形性への適用範囲を拡大させることを行った。こうして出来あがった定式化のアフィン性を活用してコンピュータパワーを利用した数値計算すれば、「供給率のマッチング」をするだけで結合システムの安定性を判別することが可能になり、複雑システムの安定性解析や制御設計への新しい道を開くことができた。「供給率の接続」は三角構造を持つシステムに関する研究代表者の過去の研究成果から発したアイディアであるが、本年度の研究の大きな貢献点は三角構造から脱したことである。それは、供給率の接続に「非線形性の活用」の有効性を発見したことから始まった。接続を線形に限ってしまうと、対処できる非三角構造は本質的に線形的なシステムや結合に限られるという理に適った結論に達した。従来の理論との関係の明確化にも力を注ぎ、提案する理論に従来理論の自然な拡張としての解釈を与え、従来法と比較した利点を整理することに成功した。本年度は、一部の理論について計算機シミュレーションにより有効性を検証した。以上により、「供給率の非線形接続」と「供給率のマッチング」という2つの着想に基づいた結合システムの解析設計の理論の基礎がほぼ確立できた。今後この成果を発展させ、小さなシステム一つ一つの供給率を非線形接続しながらシステムを拡大していく手段を構築すれば、真に複雑な非線形システムやネットワークを取り扱う魅力的なアプローチになると考えられる。得られた研究中間段階の成果を、国内および国外の研究集会・会議で発表、投稿した。
|
Research Products
(6 results)