2003 Fiscal Year Annual Research Report
補強材の引抜き特性に及ぼす補強土の応力・変形状態の影響に関する研究
Project/Area Number |
15760358
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河村 隆 信州大学, 工学部, 助手 (50324231)
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Keywords | 補強土 / ジオシンセティックス / ジオテキスタイル / 引抜き試験 / 引抜き摩擦定数 / ダイレイタンシー / 鉛直応力 / 試験方法 |
Research Abstract |
補強材の引抜き試験は,土と補強材の相互作用による補強メカニズムをより詳細に評価するための試験の一つとして有効であると考える.そのためには,施工過程から破壊状態までの間で変化する応力・変形状態を考慮することが重要であり,引抜きにともなう応力状態の変化やダイレイタンシー特性などについて検討する必要がある.本年度は,既存の二軸圧縮試験装置に引抜き装置を設置し,応力・変形状態制御型引抜き試験装置を試作・開発した.試験装置の検定を実施し,試験方法を確立した.そして,補強材の引抜き挙動を定量評価するために,初期供試体高さの異なる密なアルミ棒積層体に対して定体積および定載荷圧の両条件における引抜き試験を実施した.補強材には,表面の摩擦特性をアルミ棒積層体の摩擦特性と同等となるように表面にアルミ棒を固定したポリエステルシートを用いた.得られた主な知見は以下のとおりである. 1.密な供試体の引抜き試験においては,定体積および定載荷圧の条件によらず,鉛直応力が増加する.ただし,定載荷圧条件においては同時に体積ひずみも生じる.原位置の応力状態は,定載荷圧状態に近いと考えられる.その結果,補強土壁において敷設された補強剤の引抜きにおいても鉛直応力の増加が生じることが示唆された. 2.鉛直応力増分を考慮して算定した引抜き摩擦定数δ_1は定体積および定載荷圧の条件や供試体高さによらずほぼ等しい値を示した.さらに,本試験の条件においては,δ_1はアルミ棒積層体の内部摩擦角とほぼ等しい値を示した.したがって,δ_1を用いることにより引抜き摩擦定数を統一的に評価することができる. 3.初期鉛直応力を用いて算定した引抜き摩擦定数δ_0は,定体積および定載荷圧のいずれの条件においてもδ_1よりも過大な値を示した.ただし,引抜き摩擦強さは,初期鉛直応力およびδ_0を用いることによって評価することもできる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 梅崎健夫, 河村隆, 三村大輔: "二軸圧縮試験装置を用いた補強材の土中引抜き挙動の定量評価"ジオシンセティックス論文集. 18巻. 139-146 (2003)
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[Publications] 三村大輔, 梅崎健夫, 河村 隆: "補強土壁における土中の応力状態を考慮した補強合いの引抜き挙動"土木学会第58回年次学術講演会講演集. 1099-1100 (2003)
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[Publications] 河村隆, 梅崎健夫, 三村大輔: "補強土壁における土中の応力状態を考慮した面状補強材の引抜き試験"第38回地盤工学研究発表会. 2分冊の1. 721-722 (2003)