2004 Fiscal Year Annual Research Report
風波砕波による大気-海洋間の二酸化炭素交換機構の解明
Project/Area Number |
15760383
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉原 裕司 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (70243970)
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Keywords | 気体交換 / 物質輸送 / 風波 / 砕波 / 二酸化炭素 / 白波被覆率 / 大気海洋相互用 / 海面境界過程 |
Research Abstract |
本年度は,和歌山県の田辺湾沖合2kmに位置する田辺中島高潮観測塔においてCO_2フラックスの現地計測を実施し,得られたCO_2フラックスと大気-海洋間のCO_2分圧差から気体交換速度を評価する研究を行った.本研究では,風速とCO_2濃度の乱流変動を応答性の高い測器を用いて計測し,渦相関法から直接的にCO_2フラックスを算定した.大気中のCO_2濃度の測定には非分散赤外線ガス分析計(NDIR)を用いた.海水中のCO_2濃度については,疎水性多孔質膜チューブから成る気液平衡器を用いて溶存濃度の平衡気体を作成し,NDIRによって評価した.また,WAVEADCPのデータから波浪特性量を算定した.これらの計測システムを用いることにより,風波パラメータと気体交換速度の関係を検討することが可能となった.対象海域では,観測期間中において,日中は海洋から大気へCO_2が放出され,夜間は海洋へ吸収されていることが明らかとなった.また,海水中のCO_2濃度の日変化は比較的緩やかであるが,大気のCO_2濃度の変化は大きく,その変動には陸域からの高いCO_2濃度の空気の移流が大きく関与していることがわかった.渦相関法によって得られたCO_2フラックスの輸送方向は概ねCO_2分圧差の向きと一致していた.しかし,観測期間全体を通してみると渦相関法によるCO_2フラックスの向きとCO_2分圧差の向きが異なる場合があり,今後フラックスの算定法の妥当性を検討する必要があるものと考えられる.本観測において得られた気体交換速度の普遍表示手法について検討した結果,室内実験で得られた気体交換速度の風波パラメータ依存性が実海洋においても近似的に成立することが明らかとなった.
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Research Products
(6 results)