2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市再生のための合意形成過程における「ボタンの掛け違え」防止戦略に関する研究
Project/Area Number |
15760399
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
榊原 弘之 山口大学, 工学部, 助教授 (90304493)
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Keywords | コンフリクト / ゲーム理論 / 実験ゲーム / コミュニケーション / 調停機関 / 認識の共有 / 都市・地域計画 / 合意形成 |
Research Abstract |
平成16年度は,多数の参加者の協力のもと,都市・地域計画を巡る仮想のコンフリクトで行動を選択するゲームの実験を実施した.参加者に対しては,2人1組で,仮想コンフリクトにおいて与えられた役割を演じることを求め,その選択を記録した.その上で,当事者間の情報のやり取りを仲介する第三者が関与した場合,しなかった場合を比較することにより,当事者間のコミュニケーションが行動に与える影響を分析した.実験は,以下の手順で実施した. ・仮想のコンフリクトに関して説明を行う. ・2種類の役割を有する参加者それぞれに,行動の選択肢の集合を特定することを求める. ・参加者それぞれに,先に特定した選択肢集合から行動を1つ選択することを求める. ・相手側参加者の選択肢集合を伝えた上で,再び行動を選択することを求める. ・相手側参加者の利得を伝えた上で,再び行動を選択することを求める. 実験の結果,市町村合併のように,当事者が互いに行動を調整することが必要なコンフリクトにおいては,コミュニケーションによって相手側当事者の「譲ることができない事項」を知ることにより,選択すべき行動が明確となった.その結果,コミュニケーションがない場合と比較して,ゲーム理論で想定するナッシュ均衡に到達する可能性が高まるという効果が得られた. また,事業者と反対派住民の間のコンフリクトのようなケースにおいては,相手側当事者(事業者にとっての反対派住民)の融和的行動を引き出すには,自らが敵対行動の選択肢を排除したことを相手に明確に伝達すること,などの必要性が明らかとなった.これらの結果は,当事者のコミュニケーションを促進することのできる調停機関などの効果と必要性を示唆するものである.
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Research Products
(2 results)