2003 Fiscal Year Annual Research Report
一般廃棄物処理システムにおける再資源化・管轄行政区広域化施策の評価に関する研究
Project/Area Number |
15760407
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森杉 雅史 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (00314039)
|
Keywords | 廃棄物処理の広域化 / 環境会計 / マテリアルフロー / カスケード利用 / ゼロエミッション |
Research Abstract |
本年度では、愛知県を対象として、一般廃棄物処理事業の実態把握と、廃棄物処理サービス需要量を予測するための各種データ・統計資料を整備することに努めた。一般廃棄物処理事業は市町村の行政区域単位で運営されるため、各市町村における環境局発刊による事業概要を収集した。筆者ら(2001)にもあるように、環境会計制度を一般廃棄物事業で導入する際には分別・収集・圧縮・破砕・焼却・リサイクル・埋め立ての各過程において通過する処理量、建設費単年度換算まで換算した処理費用、環境負荷を算定し、発生主義的会計方式を採用する事が望ましく、また各通過点の費用対効果データを整備する必要がある。これらの不足を埋めるために、現地調査・ヒアリング・見学を通じてデータベースの作成を試みた。エンドオブパイプ技術としては、再生プラントの可能性、サーマルリサイクルとしての燃料使用・発電、RDF等技術が考えられ、これらの過程を上のLCAステージに取り込むことが必要であるが、次年度には完成させる予定である。一般廃棄物には飲食店からなる事業系廃棄物も混入し処理されるため、家計の消費・廃棄フローのみならず、産業連関表や事業所統計を含む社会経済指標基礎データの入手が不可欠である。今年度では得られたマテリアルフロー情報に、従来の愛知県産業連関表にカバーすることで愛知県の廃棄物産業連関表を推計・作成し、簡易な政策分析を試みている。リサイクル対象廃棄物としては、資源ごみの内特に紙ごみについて指定業者搬入のデータを入手し、整理した。本年度では紙ごみについて国内バルブ生産を起点として、新聞用紙・印刷用紙・包装用紙・衛生用紙・ダンボール・その他のカテゴリーにつき、バージン及びリサイクル財生産のカスケード利用フロー図を整備し、これらの技術条件(材質の劣化、再生費用等)を制約条件として、費用面、追加エネルギー、炭素固定率等の評価値において最適化フローを導出した。これはゼロエミッション構想の理念が産業全体としてはどこまで反映されているかを問えるものであり、結果は産業全体の再資源化量や総製品販売額、いずれを目的変数とした場合においても現状より1.5倍近くの値が得られるパスが存在することがうかがえた。このパラメータ等の検証も随時進めていく。データの欠損が未だ大きな難点ではあるが、次年度には筆者ら(2002)の研究をプロトタイプとし、リサイクル過程も鑑み、廃棄物発生分布及び処理施設の属性情報を空間情報として落とし込み、広域化等実際の政策にも焦点を当て、最適な地域廃棄物処理フローを導くことを、少なくとも紙資源において行うことを目標とする。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 田畑智博, 辻岡信也, 森杉雅史, 井村秀文: "資源有効利用度及び経済性からみたカスケードリサイクルの評価に関する研究"環境システム研究論文集. 31. 297-306 (2003)
-
[Publications] 田畑智博, 岩本薫, 奥田隆明, 森杉雅史, 井村秀文: "地域廃棄物管理のためのマテリアルバランス表の作成"環境システム研究論文集. 31. 287-296 (2003)
-
[Publications] 小笠原洋介, 辻岡信也, 森杉雅史, 井村秀文: "一般廃棄物の広域処理のコストと環境負荷に関する研究"環境システム研究講演集. 80. 259-264 (2002)
-
[Publications] 辻岡信也, 森杉雅史, 井村秀文: "名古屋市の一般廃棄物処理事業における環境会計作成の研究"環境システム研究講演集. 29. 269-274 (2001)