2003 Fiscal Year Annual Research Report
制振技術の適用による空間構造の耐震性能向上に関する研究
Project/Area Number |
15760421
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大木 洋司 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (20323842)
|
Keywords | 空間構造 / 制振構造 / モード解析 / 応答スペクトル / 粘弾性ダンパー / 短周期 / 近接固有周期 / 応答評価・設計法 |
Research Abstract |
平成15年度は,地震の水平成分入力時の応答スペクトル法による応答評価手法の開発を行った。また,応答評価にはダンパーの時刻歴解析モデルの開発も不可欠で,粘弾性ダンパーの構成則および解析モデルの開発も行った。実験については予算が不足したことから,試験体を発注するに留めた。 1.モーダルアナリシスに基づく応答評価 これまでは動的応答をモードに分解し,それらを減衰振動と剛体振動に分類して応答評価を行っていたが,この分類方法にあいまいさを残していた。そこで,通常,ホワイトノイズを想定して決定されるCQC法の重み係数を,地震波のスペクトルを2つのパラメータで模擬する手法を採用したところ,前述の減衰振動,剛体振動といった分類を考慮することなく,通常のCQC法と同じ単純な組合せ手法が適用可能であることがわかった。この重み係数の表現は冗長であるが,ダンパーの有無に関わらず適用可能であり,包括的な評価手法となった。 2.ダンパーの構成則モデル 対象とする空間構造へのダンパーの適用は,主に粘弾性ダンパーを想定しているが,時刻歴解析のためには粘弾性体の温度・振動数・振幅依存性を再現できる精密な解析モデルが必要となる。近年は,架構への負担を低減する目的から振幅依存性のある粘弾性ダンパーが開発されているが,これに実績のある分数微分モデルの適用を試みたところ,温度・振動数依存性を高精度に再現できることがわかった。さらに振幅の変化に伴い,モデルのパラメータを変化することで,振幅依存性までも再現することができた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 雨宮健吾, 笠井和彦, 大木洋司: "イソブチレン・スチレン系粘弾性体の非線形モデルおよび簡易応答予測法"日本建築学会大会学術講演梗概集. B2. 801-802 (2003)
-
[Publications] 大木洋司, 笠井和彦, 元結正次郎: "高減衰,高振動数モードを含む制振構造へのCQC法の適用"日本建築学会大会学術講演梗概集. B2. 371 (2003)
-
[Publications] Y.Ooki, K.Kasai, S.Motoyui: "Steel Dome Structure with Viscoelastic Dampers for Seismic Damage Mitigation"Proceedings of The Conference on Behavior of Steel Structures in Seismic Areas. 641-648 (2003)
-
[Publications] 笠井和彦, 大木洋司, 雨宮健吾, 木村勝彦: "イソブチレン・スチレン系のブロック共重合体からなる粘弾性材料の構成則"日本建築学会構造系論文集. 569. 47-54 (2003)
-
[Publications] 笠井和彦, 大木洋司, ほか: "パッシブ制振構造設計・施工マニュアル(第5章 制振部材の時刻歴解析モデル)"財団法人日本免震構造協会. 405(79-116) (2003)