2003 Fiscal Year Annual Research Report
ダブルバイパス式MRダンパーの力学特性の把握と建築構造への応用に関する研究
Project/Area Number |
15760433
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
岩田 範生 近畿大学, 理工学部, 講師 (20298152)
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Keywords | MRダンパー / MR流体 / バイパス / 減衰 / 免震 / セミアクティブ |
Research Abstract |
新たにストローク長が200mmのダブルバイパス式MRダンパーを製造し、その基本的な力学特性を正弦波加振実験により検証した。加振振動数と振幅、及び電磁石に印加する電流を変化させて履歴形状を調べ、各パラメータが力学特性に及ぼす影響を調べた。 電流を両コイルに同時に同じ値を印加して実験を行った結果、その履歴形状はダンパーの力学特性は電流を印加しない場合にはほぼニュートン流体を用いた通常のオイルダンパーの様相を示し、電磁石に印加する電流を上昇させることで剛塑性的な履歴形状が足された、いわゆるビンガムモデル的な様相を示すことが確認された。これら一連の実験結果を加振速度と荷重との関係としてまとめた結果、電流が無印加の場合にはそれらがほぼ比例の関係となり、印加電流の上昇につれて一定の降伏応力を発揮することが確認された。また、速度に依存する抵抗力については、印加電流にはほぼ依存せず速度との関係がほぼ一定の傾きとなることも確認された。このことから、本ダンパーの力学特性は、従来のMRダンパーと同様に、摩擦要素とダッシュポットで構成される、いわゆるビンガムモデルでモデル化できることが示された。 一方、電流をどちらか1つのコイルのみに印加した場合、基本的な特性は上記とほぼ同様の結果となるが、圧縮工程、もしくは引張工程いずれかのみに印加電流に依存した抵抗力の増加が得られることが確認され、本ダンパーによれば圧縮と引張とで独立な制御が可能となることが確認できた。 また、既存の短ストロークのダブルバイパス式MRダンパーを用いて、申請者により別途提案されているセミアクティブ制御手法の実現可能性をダンパー単体加振実験により検証した。その結果、シングルバイパス型とした従来のものと比較して、より正確に目標とする制御力を発生できることを確認した。
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