2003 Fiscal Year Annual Research Report
北方圏・積雪寒冷地域における都市公共空間のバリアフリーデザイン
Project/Area Number |
15760447
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 傑 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80333631)
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Keywords | バリアフリーデザイン / 北方圏 / 積雪寒冷地域 / 都市公共空間 / アクセシビリティ / アダプタビリティ / ユニバーサルデザイン |
Research Abstract |
本年度では主として、都市公共空間に関するバリアフリー/ユニバーサルデザインの世界的な研究動向を探るために、特にEnvironmental Design Research Association (EDRA)・International Association for People-Environment Studies (IAPS)人間-環境学会(MERA)の大会プロシーディングズを中心に、環境行動デザイン研究の文献調査を行った。また、国内における先駆的事例の現状と課題を把握するために、阪神大震災からの復興をきっかけに、バリアフリーデザインに関して設計段階から高齢者・障害者等の意見が取り入れられディテールにわたって意見が反映されたと言われる「阪急伊丹駅(兵庫県伊丹市)」の現地視察調査を行った。その結果、(1)現在の日本の都市公共空間のユニバーサルデザインとその取り組みは、プロジェクトで完結したアクセシビリティを計画・設計時点において最大限に確保し、竣工時にユニバーサルデザインを完全に達成しようとする傾向が強いこと、(2)それが逆に、多種多様な施設や交通機関相互の空間の連続性を妨げ、デザインのギャップを生み出している可能性があること、(3)その解決のためには、環境やニーズの時間的変化に柔軟に対応でき、地域性や都市規模に応じ最適化できるような、アダプタビリティを中心にそえたデザイン姿勢とその具体的内容が重要であること、という知見が得られた。次年度は、以上の初歩的な仮説をより深く検討するために、アダプタブル・デザインという観点から国内外の先駆的事例の分析を継続して行い、札幌およびミルウォーキーにおける都市滞在活動の行動観察調査を踏まえ、北方圏・積雪寒冷地域における都市公共空間のバリアフリー/ユニバーサルデザインの実現に向けてのインフラ整備方策について考察する予定である。
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