2003 Fiscal Year Annual Research Report
オープンな学習空間の建築計画的観点からみた検証と再定義に関する研究
Project/Area Number |
15760465
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊藤 俊介 東京電機大学, 情報環境学部, 講師 (50339082)
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Keywords | オープンプラン / 多目的スペース / 利用者心理・行動 / コミュニケーション / コントロール / 密度 |
Research Abstract |
1)既往研究のレビュー 多目的スペース・オープンプランに関する内外の既往研究を整理した。先進校やモデル校を対象とした建築計画研究では学習活動の空間的展開の分析が数多く行われ、これまで多目的スペース計画への多くの示唆が得られている。しかし、これらは多目的スペースがオープンに作られており、かつ積極的に使われていることを前提としており、一般的な学校における利用実態は把握されていないことが分かった。 2)多目的スペース利用実態調査 東京近郊のCニュータウンの多目的スペースをもつ小学校全校を対象に、利用実態についてのヒアリングと学級担任へのアンケート調査を実施した。多目的スペースは平均して1週間に約3時間使われていたが、これは既往研究の先進校・モデル校よりもかなり少ない。 アンケート調査から、家具を多く置いている学年、利用マナーを明示的に指導している学級の利用頻度が有意に高く、環境・児童へのはたらきかけが積極的な場合の方が教室にとどまらない学習活動展開が促されると思われた。また、同じ多目的スペースを共用する児童数が多いほど利用時間数が少ないという弱いが有意な相関がみられ、社会的密度との関連が示唆された。 多目的スペースの利用頻度は学年合同の活動だけに利用する学級は少なく、学級集団を分割する時にも利用する学級は多かった。機能を限定的に捉えるか、広く捉えるかの利用者意識も関わっていると思われる。 3)北欧のオープンスクール施設調査 デンマーク、スウェーデンの最新事例および1970年代の先駆的事例の現状について施設調査・ヒアリングを行った。最近のモデル事例では、児童生徒が個別のプログラムに沿って活動することが推進されるが、建築計画的にみれば教室は設けず空間全体をオープンにする例と、学級・教室の単位は守りつつカリキュラム面で個別化を推し進める例があり、方向性は大きく分かれることが分かった。
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