2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760480
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
足立 崇 大阪産業大学, 工学部, 講師 (80309179)
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Keywords | 台湾 / 原住民 / 住まい / 建築論 / 場所論 / 民族建設 / 近代 / ヤミ族 |
Research Abstract |
本年度は、4月から7月にかけて、これまで収集してきた台湾原住民の居住環境や文化に関する文献を読み込み、さらに文献収集を継続した。8月から10月にかけては、台湾原住民の住まうあり方が第二次大戦前から戦後にかけてどのように変化してきたかを整理した。とくにヤミ族に関しては、戦後の国民住宅建設や核廃棄物貯存場の建設、国立公園化計画などで、住まう権利がどのように変化してきたかを整理した。11月1日から11月8日にかけては、台湾の台北において文献収集を行った。中央研究院では民族学研究所をはじめとする諸研究所において文献複写をおこなった。ここではとくに清が日本統治以前に行った原住民政策に関する文献と台湾原住民の近代化に関する資料を収集した。また、国家図書館ではヤミ族の住む蘭嶼の核廃棄物処分場に関する論文を収集した。中央図書館台湾分館では、日本が台湾を統治していた初期の原住民政策を知るため、総督府資料を収集した。 12月〜1月は収集した資料の解読、分析を進め、2月〜3月はそれらをもとに論文執筆を行い、近く投稿予定である。これは日本による台湾統治初期の蘭嶼に着目し、そこでどのような人物が蘭嶼調査に具体的にかかわっていたかを明らかにするものである。ここでいう台湾統治初期における蘭嶼とは主に1895年から1897年頃を指す。これは、これまで当時の出来事として鳥居龍蔵による人類学的調査ばかりが注目され、それ以外の人物や事柄についてはほとんど注目されることがなかったためである。また、これはそれまで外部に対して比較的閉じていた蘭嶼ヤミ族の共同社会が、近代国家という外部によって初めて支配を受けるようになったそのときの状況を明らかにするための足掛かりにもなると考える。ここでは、当時の公文書類や『理番誌稿』などから関連する事項を抽出し、それを年代順に整理し、蘭嶼統治がどのように行われていったかを明らかにしようとしている。
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