2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760482
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Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
矢口 直道 岐阜市立女子短期大学, 講師 (00342048)
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Keywords | 東洋建築史 / インド / カルナータカ / 後期チャールキヤ朝 / 空間構成 / 壁面分割 / ヒンドュー教 |
Research Abstract |
研究計画に基づき、平成15年8月5日から31日まで、インド・カルナータカ州とアーンドラプラデーシュ州において現地調査を行い、その成果の一部は、「後期チャールキヤ寺院の壁面構成に関する考察-平面構成との関連について-」と題した論文で、岐阜市立女子短期大学研究紀要第五十三輯に発表した(pp.189-196)。 本論文は後期チャールキヤ寺院の外壁面について、その構成原理と平面形との関連性を考察したものである。後期チャールキヤ朝が支配した10世紀から12世紀にかけての北・中カルナータカ州の寺院は、外壁面に複雑な装飾が施されているのが特徴であり、これらは水平、垂直方向に沿って秩序だって構成されている。本論文では、後期チャールキヤ寺院の基本的な平面構成と壁面構成を概観し、インドの建築に関する規範書であるヴァーストゥシャーストラに記された寺院の立面、平面の構成原理、さらに内部空間との関連性について考察した。 様々な建築モチーフと彫像で装飾された後期チャールキヤ寺院の壁面は,規範書に示された考え方で計画され、異なる用途の室を内包している。寺院を構成する室は、ガルバグリハとこれ以外のマンダパに大別して考えることができる。ヴィマーナとマンダパの境界、マンダパ相互の境界をみると、観念的には前者がより重要であるが、構造的には後者のほうが顕著である。そして、これは必ずしも内部の室で割り切れるものではなく、前者の境界にあるのがカピリーのピラスターで、後者がマンダパ間の層の不連続であるということができる。さらに前者を神聖な空間、後者を世俗的な空間と捕らえると、この両者の間にあって、曖昧さを残しているのがグーダ・マンダパであり、まさに世俗の人々が神に向かって礼拝する行為を行う空間なのである、と結論づけた。
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Research Products
(1 results)