2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15760484
|
Research Institution | The Yokosuka City Museum |
Principal Investigator |
菊地 勝広 横須賀市自然・人文博物館, 学芸員 (80321892)
|
Keywords | 建築史 / 技術史 / 海軍 / 鉄骨造 / 横須賀海軍工廠 / 横須賀海軍航空技術廠 / 建築構法 |
Research Abstract |
本研究は、旧海軍の鉄骨造建築の変遷を明らかにすることを目的としている。平成16年度は、旧横須賀海軍工廠軍需部及び造兵部、旧横須賀海軍航空技術廠の建物の悉皆調査を実施し、台帳を整理した。更に、鉄骨造の普及の要因を明らかにすることを目的として、セメントやコンクリートに対する認識と技術の変遷に関する研究を進め、旧海軍における鉄筋コンクリート造と鉄骨造に対する技術的見解の一端を明らかにした。 旧横須賀海軍工廠軍需部の施設については、鉄骨構造の倉庫建築が広範囲に渡って現存していることを確認した。旧横須賀海軍工廠造兵部については、鉄骨造の施設に加えて煉瓦造や鉄筋コンクリート造など、当時の建物の全てを悉皆調査の対象とした。また、一部の企業の協力を得て工場として建設された鉄骨構造建築の内部構造を確認し、鉄骨の側柱の腰壁に石材を使用したものや煉瓦を使用している建物があることが判明した。なお、旧横須賀海軍工廠造兵部の鉄骨造難築で解体計画のあるものが複数存在することも判明し何等かの対策が必要であるといえる。 旧横須賀海軍航空技術廠については、建設当時の施設を対象とした悉皆調査を実施した。また、鉄骨の柱間に煉瓦を充填した施設も複数確認したが、施設の設立年が昭和7年であることを鑑みると関東大震災前に旧海軍でも普及した鉄骨煉瓦充填構造とは異なった構造形式であるものと考えられるが、構造力学的な分析については今後の課題とした。更に、施設を使用している民間企業3社の協力を得て、複数の建築の内部構造を確認できた。その結果、外観上は鉄筋コンクリート造のように見える鉄骨造の工場や庁舎建築が数多く現存していることが確認できた。 旧海軍施設については、明治期から第,2次世界大戦中までの同一組織による鉄骨造建築の編年的研究をし得ることが悉皆調査と台帳整備の過程を通して再確認できた。
|
Research Products
(4 results)