2003 Fiscal Year Annual Research Report
新規組成オキシフッ化物ナノ結晶化ガラスの創製と光学素子への応用
Project/Area Number |
15760506
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 忍 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (60276417)
|
Keywords | 結晶化ガラス / フッ化物 / フォトルミネセンス / 希土類元素 / 発光薄膜デバイス / RGB発光 / LED照明 / ナノ多孔質 |
Research Abstract |
本年度は新規組成オキシフッ化物チノ結晶化ガラスの創製のために、結晶化させるべきフッ化物に焦点を当てて研究を進めた。特に、赤色発光を示すGdF_3:Eu^<3+>およびGdOF:Eu^<3+>、緑色発光を示すYOF:Pr^<3+>、ならびに青色発光を示す複合フッ化物BaMgF_4:Eu^<2+>およびBaLiF_3:Eu^<2+>について、原料の選択、熱処理条件の制御、フォトルミネセンス測定等を通してそのゾル-ゲル合成手法を確立した。また、発光メカニズムの詳細な解析およびナノ結晶化ガラス創製のためのシリカとの複合化も行った。GdF_3/GdOF系に関しては、トリフルオロ酢酸を原料とするゾル-ゲル法において、前駆体の熱処理温度を変化させるだけで所望の結晶相が得られることを明らかにした。また、Eu^<3+>のフォトルミネセンスにおける紫外線励起メカニズムは、GdF_3:Eu^<3+>の場合はGd^<3+>-Eu^<3+>間の励起エネルギー移動、GdOF:Eu^<3+>の場合にはO^<2->-Eu^<3+>間の電荷移動によるものであることがわかり、いずれの場合にもEu^<3+>内殻内のf-f遷移による励起よりもその効率が高かった。このため、これらのフッ化物結晶は紫外線発光ダイオードなどの励起光源を用いた発光デバイスに応用できる可能性がある。さらに、シリカと複合させる際、マトリクスとなるシリカをナノ多孔質とし、紫外線を有効に散乱させる構造を持たせることにより、励起光散乱吸収による発光強度の増加が起こることを見出した。緑色YOF:Pr^<3+>についてもGdOF系と同様の結果を得た。青色BaMgF_4:Eu^<2+>およびBaLiF_3:Eu^<2+>については、原料として用いるEu^<3+>の熱処理によるEu^<2+>への還元反応メカニズムを検討し、本研究で用いたゾル-ゲル法が極めて有用な還元プロセスを含んでいることを見出した。これによって、水素ガス処理等の特別な還元処理を用いることなしにSiO_2-BaMgF_4:Eu^<2+>ナノ結晶化ガラスを得ることに成功した。以上の様に、本年度の研究成果は新規組成ガラスの創製にとどまらず、新規微細構造の創製による発光強度の増大という、薄膜発光デバイスへの応用における重要な提案を行うことができた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] S.Fujihara, S.Kitta, T.Kimura: "Porous Phosphor Thin Films of Oxyfluoride SiO_2-BaMgF_4:Eu^<2+> Glass-Ceramics Prepared by Sol-Gel Method"Chemistry Letters. 32巻10号. 928-929 (2003)
-
[Publications] S.Fujihara, Y.Kishiki, T.Kimura: "Pyrolytic Synthesis and Eu^<3+> → Eu^<2+> Reduction Process of Blue-Emitting Perovskite-Type BaLiF_3:Eu Thin Films"Journal of Solid State Chemistry. 177巻3号. 1032-1036 (2004)
-
[Publications] S.Fujihara, S.Koji, T.Kimura: "Structure and Optical Properties of (Gd,Eu)F_3-Nanocrystallized Sol-Gel Silica Films"Journal of Materials Chemistry. (印刷中). (2004)