2003 Fiscal Year Annual Research Report
バイオインスパイアード手法によって合成した酸化亜鉛パターン薄膜の光機能化
Project/Area Number |
15760507
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
齋藤 紀子 独立行政法人物質・材料研究機構, 物質研究所, 主任研究員 (20354417)
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Keywords | 酸化亜鉛 / パターニング / ルミネッセンス |
Research Abstract |
デバイスの高機能化・高集積化が進む現在、次世代を担うマイクロ・ナノサイズデバイスが求められている一方、従来のプロセスに代わる環境負荷の小さいデバイス作製プロセスが要求されている。そこで自己組織膜分子集合体の表面局所場をテンプレートとしたバイオインスパイアードセラミック合成化学研究が進められてきたが、電気・光学物性等の機能を引き出し、実用化への検討を行う研究はこれからの課題である。本研究は、バイオインスパイアード手法によって作製した酸化亜鉛パターン膜の光機能性デバイス化を期待し、さらなる検討を行うものである。 まず、酸化亜鉛膜合成には、触媒を付けた自己組織膜テンプレートを用いて、酸化亜鉛を任意の位置に選択析出させた。まず、基板上に自己組織化膜を作製した後、フォトマスクを介してUV照射し、疎水基と親水基にパターン化したテンプレートを用意した。この基板をパラジウム触媒液に浸し、疎水基部分にのみに触媒粒子を付着させた。触媒を付着した箇所でのみ、酸化亜鉛の無電解析出反応を局所的に進行させてパターン析出させた。こうして得られた酸化亜鉛パターン膜を熱処理し、その影響を調べた。 上記プロセスで得られる析出膜の結晶相は、ウルツァイト酸化亜鉛結晶であるが、その結晶中にはOH^-、H^+等の水溶液プロセス特有の欠陥が多少なりとも混入しているのが通常である。酸化亜鉛膜中のOH^-、H^+等の混入量、形態の評価には、昇温脱離ガス質量分析装置および赤外分光装置を用いた。 その結果、析出膜にはOH^-、H^+が含きれており、OH^-の影響で赤色発光が起こることが分かった。また300℃程度で熱処理してOH^-を除去することで紫外発光のパターン膜が得られた。さらにH^+を除去すると紫外発光強度が低下する知見から、OH^-量を低下させH^+量を保つという紫外発光を得る条件が理解できた。 このように酸化亜鉛のルミネッセンス特性は、結晶中の欠陥に大きく依存しており、プロセス中で結晶析出中に取り込まれると考えられる、OH^-、H^+等の水溶液法特有の欠陥を制御することで、高輝度化、紫外光発光体などの高機能材料化がすすめられた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Noriko Saito, Hajime Haneda, Kunihito Koumoto: "Pattern-deposition of light-emitting ZnO particulate film through biomimetic process using self-assembled monolayer template"Microelectronics Journal. 35(In press). (2003)